17.楽しい ページ19
三井さん
私、初めてすることが三井さんと、ばかりで
とっても嬉しかったの
ありがとう
『海、楽しかったです。』
『これから、練習なのに砂だらけにして、すみません。』
「楽しかったな。」
「また来ようぜ。」
「あと他にも…よ。」
帰り道、Aが立ち止まって聞く。
『本当に？海？また？』
そんなに楽しかったか、海。
連れてきてよかった。
「ん？ああ…いやなのか？」
『嬉しいです。』
『ありがとうございます。』
『今から、どこか他にも行くんですか？』
「ほれ。」
バックからバスケットボールを取り出してAに投げる。
「男子のだから。ちと、大きいかもしれねえけどな。」
Aは、やっぱりあの時みたいに愛おしそうにバスケットボールを見るんだ。
「確か、この近くにコートがあるんだ。」
よかった。
誰もいない。
コートに入り、軽く準備運動をした。
すると、Aがバスケットボールをドリブルしながら、レイアップシュートを打つ。
お、いいじゃん。
ドリブルもシュートも俺から見てもなかなか。
Aがパスして、俺が3Pを打つ。
入った。
Aが、ボールをキャッチして。
俺を見つめた。
キラキラ瞳でグッと俺を見つめていた。
「なんだよ。」
『凄いキレイなフォームですね。お手本みたい。』
『私も。3P。』
Aも3Pを打つ。
「入るじゃんか。」
クスクスAが笑う。
『練習いっぱいしてきましたから。』
あれ？
ひさしぶりに胸がギュンってなった。
こんなのいつぶり？
楽しい。
楽しい？
私バスケしていてただ楽しいと思うの、いつぶりだろう？
楽しい。
本当に胸がギュンってして、嬉しくなったの。
またバスケで胸がギュンっとするこの感覚はいつぶりだろう。
私の大好きな瞬間。
楽しい。
この愛しい瞬間に触れられてドキドキが止まらない。
『三井さん。』
「ん？」
Aを見ると、いつもみたいにクスクス笑ってるのに。
目が潤んでた。
『楽しいです。ありがとうございます。』
『私、楽しいです。』
私、ただこんな風に。
ただバスケを楽しくしたかったんだ。
要約自分の気持ちに気付けた。
楽しい。
この時間が愛おしい。
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作者名：うた | 作成日時：2023年7月15日 22時
