SCP財団の一研究員の苦難

始まりはいつも唐突に ページ2

大学のレポートを書き終えて、やっとこの缶詰状態から解放されると喜んだ時に、スマホの着信音が鳴り響いた。
画面の見過ぎで霞んだ視界の中、手探りでスマホを取って耳に当てれば、見知らぬ人の声がした。
『ローワン・グリーンさんでよろしいでしょうか？』
警察を名乗るその人物から唐突に伝えられたのは、今は遠くすんでいるはずの家族や、休み前に会ったっきりの友人たちの訃報だった。
頭にものすごい速さで疑問符が浮かび上がる。
この現実を受け入れたくはなかったし、いきなり警察を名乗られたところで信用すら出来なかった。だって、信用してしまったら、みんなが死んだことになるじゃないか。
午後に来て欲しいと最後に言われ、電話が切れた。
ただただ、何も鳴らないスマホを握って立ち尽くす。
私の周りの人物を中心に狙った、連続殺人事件だと、そう言われた。
犯人は同一人物だろうとのことだけ。それも確定しているわけじゃなくて、どの遺体も、原型がわからないほどグシャグシャになっているらしい。
何故、私だけは生き残ったのか。
私に恨みがあるのなら、私を殺せば済んだはずだ。周りの人まで巻き込まなくてもよかったはずなのに。
わからない。
何も、わからない。
スマホを見つめ直せば、数日前、全て同じ時間で、死んだと伝えられた友人から、大体の家族からのメールが届いていたようだった。見忘れていた通知がそのタブの数で教えてくれていた。
全て画像付きの、件名&本文なし。
不気味なのが、全ての画像が、真っ黒な画面に『画像差し止め済み』と白の文字で書かれているものだったこと。こんな悪戯をするような人たちじゃあないのに、何故？
何もわからないままに、時間に間に合うように家を出た。

怪しい白衣の人→←設定の確認

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す