イナズマイレブン――影のヒロイン―― (ページ7)

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第三話：前半ページ7

「ふぅ、どうだ。A。コツはつかめたか？」
「ううん。まだまだ」

　横に首をふるAに、一郎太はうなずく。
　二人は一度帰宅したあと、ジャージにきがえて部員がいなくなったあとの河川敷(かせんじき)でとっくんをしていた。

　一郎太のシュートをAがブロックしようとするが、足に当てたあとのボールをコントロールできず、思いがけないところへとんでいく。

「このままだと、ブロックしたボールがまた相手にとられるぞ」
「……だよね、って……あれ？」

　山なりにとんだボールを探した先にいたのは、ボールを受け止めた円堂だった。

「俺も混ぜてくれ！」

　顔を見合わせて、二人はうなずいた。

　※

　円堂はこれもとっくんだと、Aがとばしたボールをキャッチしながら、二人にアドバイスやエールを送り続けていた。
　ふと、円堂が首をかしげる。

「なぁ。A。昔のほうがうまかったんじゃないか？お前もそう思うだろ？」
「たしかに、そうだが……」
「なんだかなー。しっくりこないんだよなぁ」

　二人は原因が分からず、足を止めた。
　一方、Aには心あたりがある。前世から積み重ねてきたテクニックに、少女の体がついてこれないのだ。
　少年と少女――体のつくりの違いにAはとまどう。

　悔しげに頭をふると、長い髪がゆれた。
　一郎太と違って、すっきりとした前髪がかかる両目はまだ、あきらめていない。
　その姿から、円堂はヒントをつかんだ。

「違う……！ Aは、今もうまいんだ。ボールを見なくてもボールがどこからとんでくるのか、ちゃんと分かってる……！」
「それができるなら、どうしてボールを止められないんだ？」
「そんなの、決まってる！リミッターが無意識(むいしき)にかかってるんだ！」

　風丸兄妹が目を見開いた。

「A！お前はまだ、本気を出してないんだ！お前なら、絶対できる！」
「……円堂」

　こうなったら円堂はもう止まらないと、一郎太は二人のとっくんを見守ることにした。

「あのころを思いだせ！あのときは、俺たちのことをようしゃなく、けちょんけちょんにしてたじゃないか！」
「うん……！」
「もっとべつなことでもいい！俺たちが知らないことでもいい！お前の力のみなもとを、きっかけを思いだすんだ！」

　Aの力のみなもと……。
　それは――。