第五話：後半 ページ12
転校生で、新しくサッカー部に入った土門。
だれにでも分けへだてなく接する、秋のようすがおかしいとAはいち早く気づいていた。
だが、先に話しかけてきたのは土門の方だった。
ひょうひょうとしていて、つかみどころのない少年。
身長が高いせいか、Aはプレッシャーにのまれていた。
「こんなにそっくりな双子は初めて見たよ！ ジャージ姿になるとますます見分けがつかないや」
「はぁ……？」
「ははっ。そうかたくならないでよ。円堂さんから聞いたんだ――」
Aが身構えてしまうのもムリはない。
マネージャーたちは無害だと影山から見
「サッカーが好きなんだってね。それなら、サッカーもうまいのかなぁ……？」
風丸のスペアになることが、可能なのではないのか――と。
土門は、帝国から送られてきたスパイだった――。
※
『それはいいことを聞いた。土門、続けろ』
「はい、
土門は、円堂と風丸兄妹がとっくんしていたことを報告した後だった。
それに対して、影山がだした結論は……。
作られた｢
「そんな……。俺はどうすれば……。俺のせいなのか……」
せめて、
土門の決心が
※
土門がそうなっているとは知らず、河川敷でとっくんを続ける三人。
円堂のおなかがぐぅー、となったことで今日のとっくんはもう終わりだ。
おなかをすかせた円堂は急いで帰る。
遠く小さくなった円堂に手をふり続けるAを一郎太が見つめていた。
「じゃあ、私たちも……兄さん？ どうしたの？」
Aはうしろにふり返ると、一郎太からいつもとは違う
「A。俺に隠していることはないか？」
「……兄さん？」
「ま、待って。兄さん……！」
それでも、足は止まらない。
後ずさるAの
「待って、待って、待ってー！」
顔を赤くして、あわてるAを見て一郎太は「なんか違うな」と思い始める。
「私……」
「A？ どうした？」
「私、今、多分！あせくさいからー!！はなれて！」
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作者名：ヤナギカエル | 作成日時：2021年2月21日 20時
