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三嶋さんは俺の様子を伺いながら話し始めた。
「高１になってすぐ、クラスの役員決めがあったの覚えてる？クラスの議長を決めようってなった時に誰も立候補する人がいなくて、最終的にくじで決めることになったでしょう。それで、じゃんけんに負けて私がなっちゃったの」
「ああ、あったねそんなこと」
「私、人前に出るのが苦手で…。上手く喋れないし人をまとめられる力もない。案の定、議長になって教壇に立って話しても誰も聞いてくれなかった。けど…」
「けど？」
「その時に有岡くんが『議長の話聞こうぜ』ってみんなに言ってくれて教室が静かになったの」
「俺そんなことした？」
「うん。覚えてない？私、凄いなって思った。たった一言でクラスのみんなをまとめちゃうなんて。…だから、最初は憧れだったんだ」
三嶋さんは恥ずかしそうに、そして大切そうに過去の出来事を思い出していく。
その記憶が全く残ってないことを申し訳なく思いながら俺は黙って話の続きを待った。
「有岡くんの周りにはいつも人がいて、有岡くんが笑うとその場が明るくなる。有岡くんは人を幸せにできる人だった。それは私には出来ないことだから、あんな風になれたらなって羨ましく思いながら、気づいたらずっと目で追いかけてた。
困ってる人がいたら必ず声をかけたり、どんな子に対しても変わらず明るく話しかけてあげたり。有岡くんのことを知るたびに好きになっていって、…同時に苦しくもなって」
三嶋さんの顔が歪む。
「有岡くんが彼女さんといるところを見るたびに、それが自分だったらって勝手に切なくなって。女の子と楽しそうに話してると、自分は話しかける勇気さえ無いくせにモヤモヤして。…伊野尾さんがこの学校に来てからも何回か『来なかったら良かったのに』って思った。嫌な女でしょ？」
彼女の目からきらりと光るモノが落ちた。
無理に笑おうとする姿が、記憶の中にある同じような顔をした彼と重なった。
「自分が醜い人間になってくのが辛いっ…。だからっ。…だから、もうやめようと思う。苦しいだけの恋は終わらせたい。次に進みたい…。
お願い、私の恋を有岡くんが終わらせて下さい…」
初めてだった。ここまで真っ直ぐに自分を評価して好意を持ってくれた女の子は。
だから何の考えも無しに、稀有な存在を繋ぎ止めたかっただけで、俺はこう口走ってしまったんだ。
「俺と…付き合ってみる？」
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いちご(プロフ) - シリーズすべて読ませていただきました！楽しかったり、苦しかったり、切なかったり…とても面白いです！1番大好きなありいのの作品です！とても続きが気になるので、また書いてくださると嬉しいです。心よりお待ちしてます！！ (2019年5月29日 10時) (
レス) id: 46fdb26abc (このIDを非表示/違反報告)
零(プロフ) - いつか更新して下さることを心待ちにしております！とっても気になります…！頑張って下さい！ (2017年7月2日 23時) (レス) id: 232a914972 (このIDを非表示/違反報告)
苺米(プロフ) - はじめまして！この作品大好きです！！！いつかまた続きをかいてくださることを楽しみに待っております。 (2017年5月14日 19時) (レス) id: 226b1e3a5a (このIDを非表示/違反報告)
ao(プロフ) - 初めまして！今更ながらシリーズ全て読ませていただきました！設定、ストーリー大好きです。笑えるところもあってだけど切なくて淡い…感動して泣きそうになってしまいました！しばらく更新されてないようですが、気長に楽しみに待ってます！ (2017年2月13日 12時) (レス) id: 056be967bd (このIDを非表示/違反報告)
まよ(プロフ) - コメント失礼します。更新待っておりました！これからもどうぞ作者様のペースで...楽しみにしております！ (2016年11月1日 23時) (レス) id: cde03f2c07 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：迫田ゆめの | 作成日時：2016年11月1日 15時
