我妻くんが求婚してくれない【我妻善逸】

弐拾壱 ページ22

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____カタッ





｢ん？善逸、どこかへ行くのか？｣





急に椅子から立ち上がった我妻くんを見て竈門くんがそう聞いた。





｢ん〜、一花ちゃんにお花でもつんでこよっかなって思って。｣






そう言いながら我妻くんは部屋から出て行ったので、私は咄嗟に椅子から立ち上がり彼を追いかけた。





｢待って我妻くん！私も行く。｣





廊下を歩いていた我妻くんの背中に向かってそう声をかける。





しかし止まってくれる気配は一向になかったので、急いで駆け寄って我妻くんの隣に並んだ。





｢我妻くん、私も行く。｣





先程の声が届いていなかったのだと思い、隣からもう一度そう声をかけるが





｢………。｣





我妻くんは全く返事をしてくれない。





｢我妻くん、我妻くん。｣





｢………。｣





｢我妻くん…？｣




｢………。｣





｢〜〜っ、あ、我妻くんってば！｣





何度名前を呼んでも我妻くんの気だるげな目がこちらに向くことはなかったので、私はムスッとしながらも諦めずに何度も名前を呼んだ。




___________

______





｢我妻くん、このお花なんて言う名前なの？｣


｢………。｣




｢我妻くん、これとこれすっごく綺麗だよ。｣


｢………。｣




｢我妻くんはどのお花が好きなの？｣


｢………。｣





こうなったら最後までとことん無言を貫く気でいるのだろうか。





目的地についても我妻くんは全く私と口をきいてくれず、ただ黙々と色とりどりの花たちをつんでいた。





｢我妻くん、こっちのお花は……｣





ただ我妻くんとお話がしたいだけだった私は、花をつむこともなくひたすら我妻くんに話しかけていたが、あまりにも無視をされるため途中からは話しかけるのを諦め、我妻くんと同じように地面に咲く花たちを黙々とつんでいた。






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