好きだから。《紫》 (ページ16)

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side 蓮

昨日は朝から発作で、結構忙しかったんだけど、

今日は大丈夫そうで良かった。

なんだか最近、辰哉が上の空っていうか、なんか違うことが考えてそうなんだよね。

『めめせんせ、ちょっと、待って。ねぇ、聞くだけでいいから。耳貸して。』

って、やっと言ってくれる気になったか。

『なんでも良いから、自分で判断するな』

辰哉は、この本当の意味をわかってくれたのかもしれない。

俺は、辰哉の担当医になる前、ある男の子を担当していた。

初めての担当の子で、『絶対に治してやる』そんな思いが溢れていた。

だけど、その子は症状が悪くなるばかりで。

結局治すどころか、もっと大きい病院に転院となった。

原因はストレス。

学校に行けない。友達に会えない。家族とも会えない。自分の好きなことも少し制限される。

そんなイライラが重なり、病状の悪化に繋がった。

だから、辰哉にはそんなことにはなってほしくなくて。

ちょっとの不安やイライラでも、俺に全部ぶつけて、2人の問題にしていこう、

っていう意味も込めての言葉だったんだ。

きっと、わかってくれた。辰哉は優しいから。