十四話【社交恐怖】 ページ15
あれから幾度かカスタムで練習したが、これといって難はなかった。……やはり実戦が必要か。
「とはいっても、少し疲れたな……」
ふと私は思い出す。
私、風呂に入ってないじゃないか!これは問題だ。男性の体臭を気になる女性は研究で約99%と、私が調べた限り出てくるのだ。
だから今の状態で女性と接触するのは、とても危険だ。死に値する。
「風呂は何処にあるんだ……。個室にもなかったのだが……。」
自慢ではないが、私は女性の知り合いが多い。
唯一頼れる男など……ガウィンくらいしか思いつかなかった。
「……あれ、セーブさん……?ど、どうしたんですか。顔が、凄いですよ……。」
廊下を歩けば前からカール君が歩いてきた。これは都合がいい。この先は個室しかないので、恐らく自室に戻る途中なのだろう。
「嗚呼、我が英雄よ……!私をお風呂に導きたまえ!」
「は、はぁ……?」
───
「……此方です。食堂から直ぐ曲がった所にあります。」
カール君も朝風呂らしいので、案内してくれた。なんだかんだ言っても、私と話してくれるし、社交恐怖なんて最初からなかったのでは?と、疑ってしまう。
「間違っても、女性の方に入らないでくださいね……。貴方ならやりかねない……。」
「入らないよ〜……出た直後を狙うから」
「セーブさん?」
「ごめんなち……」
まぁ、風呂に入ったんだ。そこまでは問題ない。しかし─目のやり場に困るというか。
「……朝風呂は静かなので落ちつきますね……。」
カール君が女性に見えてしまうため、その……必死に眼球を泳がせている。生憎、風呂場は阿保みたいに広いので助かった。
「あ、アッそうだネ……」
「……?」
これでは私が社交恐怖みたいじゃないか!
「……あの。僕、あの時、初めて普通の人みたいに接しられたんです。」
何か回想が始まったぞ。
カール君は男、カール君は男……。
「社交恐怖って言われていて、皆から異常者みたいに避けられてたんです。でも、貴方が普通に話しかけてくれたのが、嬉しくて…。
部屋でもずっと貴方を納棺してました。」
さらっと恐ろしい事を言われるが、まぁ彼は嬉しそうだから見逃そう。温水の上にアヒルのおもちゃを浮かせながら、話を聞いた
「そうなんだね」
「だから……ありがとうございます。」
感謝されるというのは嬉しい事だ
「ところでカール君」
「はい?」
「目のやり場に困る。上も隠したまえ。」
そうタオルを渡すと「女じゃないですから!!」と、叫ぶのであった。
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第五愛(プロフ) - 一作で終わらせようとしたのに……二作目の予定になりそうです。心理の答長編になりそうなので何卒よろしくお願い致します。 (2020年3月4日 0時) (レス) id: a1b6700df9 (このIDを非表示/違反報告)
第五愛(プロフ) - アムカリさん» ご心配ありがとうございます……!アルカリ様もどうかお身体にはお気をつけてください……! (2020年2月29日 23時) (レス) id: a1b6700df9 (このIDを非表示/違反報告)
アムカリ(プロフ) - 作者様もお気を付けてください…! (2020年2月29日 23時) (レス) id: 16831434ed (このIDを非表示/違反報告)
第五愛(プロフ) - 皆さんコロナにはお気を付けて……。 (2020年2月29日 18時) (レス) id: a1b6700df9 (このIDを非表示/違反報告)
あめ - 更新されてるか毎日確認するくらい好きです!待ってます!! (2020年1月30日 21時) (レス) id: 88aab0d57f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:第五愛 | 作成日時:2019年11月7日 17時