# 先輩の愛し方 . [inym]

# 告白 . Rside ページ48

「山ちゃん。」


「はい…」



見上げるといつになく真剣な顔をする先輩に身体中の血液が沸騰するくらいに熱く流れていく。

そして、ゆらりとお互いの瞳がお互いを捕らえた時。



「俺の恋人になってください。」


「……ぇ。」


「言ったでしょ？何されても俺はずっと好きだって。山ちゃんが運命ｰサダメｰなんだって。

それは、今でも変わらないよ。」



情けなく顔が崩れて涙で溢れかえっている俺の頬を両手で挟んで、微笑みかける伊野尾先輩。

なんだよそれ……ずるいだろ……。
そんなに優しい事言われたら俺はっ。



「ぅっ、うぅー……、ふ…っ、く…」


「ふふっ。泣かないでよ。ほら、返事は？」



シャツへ顔をグリグリ押せば、顎を手ですくわれて先輩の方へ向かされる。

その顔は自信に満ちていて、嬉しそうに俺を瞳に映して、決定されている返事を急かした。



「俺で、いぃ…の、ならば……っ」


「んもぅ。だから、山ちゃん以外無理だって。」


「俺だって…っ、そう思ってますよ…ぉ…」


「ほんとにー？」


「本当ですっ…」



幸せが溢れて消えていきそうなくらい今、この時が至福過ぎて感情が大渋滞してしまう。


それでも伊野尾先輩は愛おしそうに俺の頭を撫でながら拗ねたように口を尖らした。



「あ、そうだ。他の男と浮気しないでよ？あれ超傷ついたから俺。」


「その前に、抱かれたこともッ、キスしたことも、無いです、けど…グス…、」


「ちょ、寝たことあるの知ってるから。山ちゃんが言ってたんだよ？」


「それ、添い寝です。グスッ、伊野尾先輩の反応見たくて、嘘ついてました……ごめんなさい。」


「え……マジか…。」



少し前の嘘を告発すれば半分放心状態になったものの、伊野尾先輩は吹き出すように笑う。

それから、仕方ないなぁ、とまた俺の頭をグリグリと撫で上げた。



「あ、あの、先輩…」


「なに？」


「もう、御守り、要らないです…」


「へ？」



いつの間にかシーツの上に落ちていたネックレスを自分のシャツのポケットへ入れる。

それから戸惑っている伊野尾先輩を見つめながら、ぐるんと向きを半回転して、シャツを背中辺りまで下ろした。



「その代わりに、ココ。噛んでください。」


「え……、それ、」



心做しか先輩を誘うように首元の、うなじを晒して指でそこを撫でる。

そうすれば微かに先輩の喉が動いてすぐさま目線をうろつかせた。

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