# 先輩の愛し方 . [inym]

# 逃げるが勝ち . Rside ページ4

｢あの。｣


｢ん？どうした？食べないの？｣


｢いや、食べますけど、｣



この人は気付いてないのか。

先程の事からこの中庭に人が集まっていることを。


俺、本当何でこんな人と居るんだろ。。

友達も居ないのに人気のこの先輩と連れてるなんて明らかにおかしいだろうに。
女子からは先輩後輩同級生と関係なく目ぇ付けられて、男子からは好奇の目が当てられる。

先輩も先輩だ。
確かに先輩と居なきゃいけない理由はあるけど、何もここまで一緒じゃなくていい。



｢先輩、あのですね、｣


｢ちょっとぉー。さっきから思ってたんだけど、その先輩呼びはやだなぁ〜｣



俺ちゃんと名前で呼んでほしいなぁ？と女子ならキュン死するであろう上目遣いを見せながら俺に頼み込む。



｢……今のめちゃめちゃウザいんすけど。｣


｢んも、可愛い顔して言葉遣い悪いよ？

ほら、呼んでよ、慧くんって！｣



期待の目…

マジこの人先輩じゃなかったら…ってか周りに人が居なかったら1発殴ってるわ。



｢はいはい。
モテて人気でミステリアスだとか言われて毎日女子からキャーキャーの伊野尾先輩って呼べばいいですか？｣



緑ネクタイを付けた3年の先輩、伊野尾 慧 先輩が俺のストーカー。

毎日毎日俺を勝手につけ回し話しかけてくるからもしかするとストーカーよりタチが悪いのかもしれないが。

それでもルックス良し、性格はよく読めない意味深さに包まれていてそのミステリアスな感じが女子の胸を掴んでいるらしい。

ただ。俺限定で難ありだったりポジティブ思考だったり……案外変態でもある。



｢ちょっと！名前で呼んでよー！
……でもまあ嫉妬してくれてるみたいだから許してあげる〜♪｣


｢え、いつ俺が嫉妬を？｣


｢だって高校1モテて人気とか女子からキャーキャーのーなんて言ってくれたじゃん？｣



ほら、出たポジティブ思考。

嫌味で言った言葉すら俺だとこんな天国脳になってしまうんだ。


あー。さっさとこの人から逃げよう。

そろそろチャイムもなって授業始まりそうだし。



｢じゃ、これで失礼します。｣


｢え？！ちょっと待って、うわあ！｣



こっそり足元に置いといたお茶を見事に蹴飛ばし、もたつく先輩。


うし、作戦成功。
やっと解放されたぁ〜♪

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