ヌ レ ル __ 。 [inym]

【８】色気がアルようで _ Iside ｡ ページ8

リビングへ着いてから迷わずにキッチンへ進む。



「インスタントで、いいよな？」



滅多に開けることのないキッチン棚の扉を開けて、インスタントのコーヒーや紅茶、ココアなどが入っている中から吟味していく。

それからココアを選んでその粉末をマグカップふたつへ入れてお湯を注いだ。



「……うーん。」



それにしても。


あの人、一体なんであんな所に居たんだろ。


そもそも何歳？

高校生？

じゃあ家に帰れないっていうのは、家出とかか？


いや、

もし未成年なら今俺結構ヤバイ事してない？



いや……


いや、同意だし。別に大丈夫だし。




大丈夫だし…！



「……、」



プルルル…プルルル…プッ…



『はい、もしも』


「やぶぅ！ヤベェ俺どうしようっ！！！」


『うっさ……いや、なんだよ急に。』


「いや、実は、俺、っ…？

あ……悪い切る。」


『は？！え、ちょ…』



焦ってウロウロ歩いてしまって飲み物を注いだコップをキッチンに置きっ放しだった事に気付いて取りに行く。

その際、浴室の扉が開く音がして、問答無用で薮への電話を終了した。



「ごめん、また連絡する……っと。」



通話を切った後に出てきた電話帳の画面からトークアプリをタップする。

そしてアイツが確か去年観に行ったと言っていたサッカー観戦を写したアイコンを開いて謝罪を入れておいた。



コンコン……



「おっ。はいはーい。入ってもいいよ。」


「失礼、します…」


「随分と早かったけど、ちゃんと温まれた？これ飲みも…の、」


「ぁ、ありがとうございます…すいません…」



両手にコップを持って振り向くとそこには、ほかほかと頬をピンクに染める彼がドアの前で立っている。

俺の服はやはり少し大きくてモジモジと動かす指先は袖口から見え隠れしていた。



「え、っとね……、ここッ、ここに、座って？」


「はい……どうもすいません…」



彼から目を離せずにソファーを叩いて居場所を作る。

少し水分を含む黒髪は大きな目に若干掛かってはいるもそれがまた余計に色っぽく、血色のいい真白な肌はスベリが良さそうで自然と目が惹かれてしまう。


それは何故か無駄に胸が高鳴ってしまっていて、違う違うと俺は首を振った。

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