ヌ レ ル __ 。 [inym]

【３３】K.O. _ Iside 。 ページ33

確かに……確かに大ちゃんの言ってることはあながち間違っちゃいないけど。

俺の場合そこに恋愛が入ってないだけで…

山ちゃんに…逃げられーー。









((ごめんなさっ…、ひっ、く…
腕をっ……離してッ、ください…っ、！))









((ありがとうございました…



っ……さよなら…、！))









「あ……あぁー…」


「え、ちょっと、急に頭抱えてうずくまってどうしたの？！」



思い出したくなかったシーンがフラッシュバックしてこれはダメだと声を漏らす。


俺……全ッ然立ち直れてねぇ…

山ちゃんの泣いた顔思い出すだけで罪悪感が拭えねぇー…



「はぁぁぁ…俺、なんであん時……はぁぁー…」


「うわ……伊野ちゃんってば酷い顔…」


「あーもうほら大ちゃん。無意識で更に塩塗りこんじゃう前に退散するよ。」


「へっ？塩？」


「いーから。じゃあ伊野ちゃん、また今度！」



落ち込む最中、半ば強引に大ちゃんを連れ出してパタンと閉じる扉に、少し寂しさを感じながらため息を落とす。


山ちゃん…元気かなぁ。

あの日から一度も再開していない為に膨らむ思考はもはや留まることを知らない。

それは、モヤモヤしたまま別れてしまったからか…もっと話していたかったからなのか、それともまた別の……

…いや…前者だろう、多分。



「……。」









((っ、いの、っ…ちゃ……、はぁっ、))




((…っなに？))




((おねっ…が……、っ、


……たす…っ、！))









「っ……


はぁぁあー…あぁもう。」



顔を覆って天を仰ぐ。

自然に出てしまった普段より少し低い、イライラを含んだような声に驚きながらも、その思考を胸の奥へと沈め込む。



((たすけて))



あの時の、彼の言葉を続ければ、

彼の意図を俺なりに紡げばこの言葉だったと思う。


けれどもしそれが正解だとしたら、俺はとんでもない間違いを犯したんじゃないかと怖くて背筋が冷えた。



「あれ…もしかして…、」



見間違いなのかと思っていた…というよりあえてスルーしていた引っかかりに気付いて、思わず立ち上がる。


あの時……えーっと…確か山ちゃんが俺と寝るとか勘違いで土下座した時だったっけ…

その時にチラリと、本当に一瞬だけ見えた山ちゃんの肩に傷跡が…
なんか、引っ掻かれた傷と結構深めの傷跡だった気がする。


もしかして誰かにやられてとか…
イジメ…虐待…とかそういう、



「……ぃや、それは流石に考えすぎか…。

…うん……仕事しよう。」

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