【22】気付く後悔 _ Iside 。 ページ22
「…ど、しよ……、どうしようッ、!
ッ、ふぇっ、うぅッ…!は、っく、!」
「お、落ち着いてっ…山ちゃん落ち着いて、!」
これは一体
どういう事なんだ。
突然の電話に怯えたように体を震わせたかと思えば家を出ていこうとしていた山ちゃん。
それからその着信が収まれば、倒れてしまうのではないのかというくらいに真っ青な顔をして汗を滲ませだした。
「山ちゃん、大丈夫っ?」
もう俺には何が何だかさっぱりながらも、声を掛けながらただ山ちゃんの腕を離さないように掴むことしか出来ない。
電話の相手と関係がある…?
山ちゃんは家からみたいなものだと言ったけど…
正直ここまで怯えてるなんて普通じゃない。
必死で少ない材料で考え込んでいると、震えた弱々しい声で、顔面蒼白の山ちゃんが口を開いた。
「俺……帰ん、なきゃっ、ダメ、なんです…ッ」
「っ、」
「だから、ごめんなさっ…、ひっ、く…
腕をっ……離してッ、ください…っ、!」
何かに怯えたように頼み込む山ちゃんの瞳に、意識もなく頷いてしまう。
そして
ほんの少しだけ掴むその手を緩めてしまったが最後。
「ありがとうございました…
っ……さよなら…、!」
ガチャリ!
深く頭を下げ、情けないくらい悲しそうに別れを告げた山ちゃんは、俺へ背を向ける。
なんで……今…
俺は手を離した…?
なんでっ、今…!
「山ちゃん!」
走り去る小さな体へ無意識に手を伸ばすと、もうこれ以上彼に関わるなとでもいうかのように、玄関の扉が静かに閉じられる。
そこでようやく
俺は気付いてしまう。
あの時、
着信音に気を取られず
彼の想いを紡ぐ言葉の続きを求めていれば…
今さっき、
無理にでも彼の手を掴んで止めていれば…
こんなにもやってしまった悔しさに襲われることは無かった筈だと。
こんなにも…ポッカリ空いてしまった胸の喪失感に動揺が隠せていないことなど無かったのだと…
犯してしまった拭えない後悔に気付いてしまった。
【第2章ー23】暗い狭い檻 _ Rside 。→←【21】最悪の見逃し _ Rside 。
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星羅(プロフ) - 楽しみに待っていました!次の展開が楽しみです、素直な山田さんがとても可愛くてもう...笑 また個人的に´´クソッタレた未来を「全部ぶち壊...(略)」の部分がどこで出るのかわくわくです笑 とてもお話の内容に見入ってしまう?様な小説で毎回楽しみです頑張って下さい! (2017年11月10日 0時) (レス) id: 5744160fa6 (このIDを非表示/違反報告)
あやりょ 。(プロフ) - 星羅さん» 星羅さん!コメントありがとうございます^^*なんとも嬉しい感想、今最高に幸せです書いてる意味がありますありがとうです!!!おお、しかもワタクシの方まで気を回してくださるなんて!こんなにお優しい方にご覧になって頂けて感謝です。これからも頑張りますね! (2017年11月8日 0時) (レス) id: b331d663ec (このIDを非表示/違反報告)
星羅(プロフ) - コメント失礼します!このお話は展開が毎回気になる作品の一つでアップの通知が来てすごく嬉しかったです!面白い作品でもあっていのやま作品でも特に好きです。続き楽しみに待っています、最近サブくなっていますし体調に気をつけてお過ごしください!頑張ってください (2017年11月5日 15時) (レス) id: 5744160fa6 (このIDを非表示/違反報告)
あやりょ 。(プロフ) - 千香さん» 千香さん!コメントありがとうございます^^* 簡潔だけど率直な感想!分かりやすい上に嬉しすぎるお言葉ありがとうございます!!!これからも萌えさせられるよう頑張りますね( ̄^ ̄ゞ (2017年11月5日 11時) (レス) id: b331d663ec (このIDを非表示/違反報告)
千香 - 萌える! 照れるとことか可愛すぎて死にました! 伊野尾ちゃん頑張れ! 続き楽しみです!更新頑張ってください! (2017年11月4日 14時) (レス) id: 85985d82bf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あやりょ 。 | 作者ホームページ:http://antyan
作成日時:2017年9月29日 0時