GAME START/覚醒 17.H ページ32
「光くんっ!」
「っ……?」
「俺も、行くよ。」
先程の衝撃にやはり少しふらつく頭を抱えて、さぁここからどうしようかと頭を悩ませ始めた時、後ろから誰かが俺の名前を呼ぶ。
そのスグあと隣に誰かが並んだのが見えて、思わず足を止めた。
「……ゆう、と…」
「ふふっ。光くん、やっぱ反応遅い。無茶してるでしょ。」
図星をさしながらこの場に似つかわしくない爽やかな笑顔を向けた裕翔にため息をついて俯く。
もう、俺の言う事ちゃんと聞けってば…。
案外俺見栄張って言ったつもりよ?
「皆の所、戻れ。俺は裕翔まで、あんな変なのに傷つかせたくないんだよ。」
「……光くん。」
「なんだよ…、ほら、戻れって、」
「俺も光くんを傷つかせたくない。同じだよ。」
顔は見えずとも本気で言ったであろう裕翔の言葉に突き放そうとする胸がグッとストップをかける。
けれどどれだけそんな事言ったって裕翔はどうすることも出来ないんだよ。
ここは、俺じゃなきゃ、ダメだ。
「お前は…、俺と違う…」
「え…?」
「賢い裕翔なら分かってんだろ…。俺じゃなきゃ戦えない。みんなを助けることは出来ないんだよ。」
そう。だからこうして化け物に立ち向かおうとしてるんだ。
もうこれ以上、薮みたいに被害を出さないように…
俺が、死んでもこの化け物二匹を
殺らなきゃイケナイ…
「っは、…っ、ふ…、っ」
あー、息しずれぇー………怖。
心臓がうるさいくらいドクドク鳴ってるし、喉が締まったままで空気が吸えない。
クリアな思考だからなのか、冷静になった今だから分かる。
こうも、アヤメてしまう事に恐怖感があるなんて。
死ぬ事は嫌だ。
けれど例え喰うこと以外感情がない化け物だったとしても俺が殺してしまうという事実が無性に悲しくなった。
「はぁ……はっ、!」
「っ……光くんっ、」
「早くっ、戻れよ…!頼むから、!」
落ち着かせようと背中に当ててくれた裕翔の手から俺は逃げるように足を進める。
大丈夫だ……集中、しろ…
心の中で精一杯念じながら目をギュッと瞑り、神経を研ぎ澄ます。
その時、足元しか見ていない俺を遮るように裕翔が前に立ったのが分かった。
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あやりょ 。(プロフ) - ゆい花さん» 本当に長い期間更新を空けてしまってすいません(T_T)優しいお言葉本当に嬉しいです!ありがとうございます!ゆっくりですが、今後もよろしくお願いします<(_ _)> (2019年2月27日 20時) (レス) id: 3f72280c96 (このIDを非表示/違反報告)
ゆい花(プロフ) - 久しぶりの更新で嬉しいです!これからもあやりよ。さんのペースで頑張ってください。応援しています(o^^o) (2019年2月26日 20時) (レス) id: c6ccc5474f (このIDを非表示/違反報告)
きき - はい(((o(*゚▽゚*)o)))頑張ってください応援してます(^O^) (2017年10月24日 10時) (レス) id: b5dd81d92a (このIDを非表示/違反報告)
あやりょ 。(プロフ) - ききさん» ききさん、コメントありがとうございます!随分とお待たせしてすいませんm(_ _)m更新、頑張りますね!! (2017年10月23日 2時) (レス) id: b331d663ec (このIDを非表示/違反報告)
きき - 更新されるのをずっと待ってます(*^▽^*)お願いしますm(_ _)m (2017年10月22日 12時) (レス) id: b5dd81d92a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あやりょ 。 | 作者ホームページ:http://antyan
作成日時:2017年9月1日 16時