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GAME START/覚醒 16.H ページ31

「はぁっ!はぁっ!っ、はぁ!」



身体中からせり上がってきたものを抑えきれずにそのまま化け物へ放ったあと、その場に膝をつく。


ほぼ無意識に行ったソレは自分じゃどうやったのかなんて全く分かっていないけれど

不思議と気分は向上していて、焦げ臭い化け物へ目を移した。



《ギ……ァァ……ァ…》



俺からの攻撃をモロに喰らった化け物はピクリとも動かずに息絶えていく。

それを見届けてから、我に返れば、体から力が抜けていき、意識が遠のきそうになった。



『ふっ……ハハッ!アハハハっ!』



マイクから流れる高笑いに意識を削がれて、頭を抱える男へと顔を向ける。


すると狂気に満ちた表情のまま、べったりとガラスへ手をくっ付けて俺に口を開いた。



『とうとう……っ、とうとう見つけたよ!!うん!うんうん!アハハッ!やったネ!!!アッハハハ!』



「……そうみたいだな。」



何故男がここまで喜んでいるのか、俺には少しだけ分かった気がする。

それはたった今身をもって体験したばかりだからなのか、何とも言い難い感情がむくりと膨れ上がった。



「ひ、か……」


「怪我、ない?みんな。」


「無い…けど、」


「…そっか。」



未だに衝撃から冷めやらぬみんなに声を掛ければ固まった表情のまま空返事が返ってくる。


……まぁ、当たり前か…


ヤケに冷静な思考はもう自分がどういう状況か、どんな事をしたのかは分かってるつもりだ。

だからみんなから表される驚きも理解出来ているし、拒絶くらいされてしまうだろうとタカは括っていた。



「……とにかく皆は、下がってて。」


「え…?」


「俺が、相手をする。」



まぁ、さっきの加減しなかったアレで全身ガクガクだけど…

そう思いながら心配そうに見つめてくる皆をすり抜けて前方にいた2体の方へ足を進める。


うん。まだまだ異様に体は軽いし、思考もクリアだ。これなら多分大丈夫かも。


もう逃げる気はない俺の踏み出す1歩は更に胸の奥で溢れかえる力へと背中を押す。


正直に言えば、全然俺自身のこと分かってないし怖ぇケド…

大切なものを失ってしまいそうという、計り知れない恐怖を知ってしまった今、俺に踏みとどめる理由はなかった。

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あやりょ 。(プロフ) - ゆい花さん» 本当に長い期間更新を空けてしまってすいません(T_T)優しいお言葉本当に嬉しいです!ありがとうございます!ゆっくりですが、今後もよろしくお願いします<(_ _)> (2019年2月27日 20時) (レス) id: 3f72280c96 (このIDを非表示/違反報告)
ゆい花(プロフ) - 久しぶりの更新で嬉しいです!これからもあやりよ。さんのペースで頑張ってください。応援しています(o^^o) (2019年2月26日 20時) (レス) id: c6ccc5474f (このIDを非表示/違反報告)
きき - はい(((o(*゚▽゚*)o)))頑張ってください応援してます(^O^) (2017年10月24日 10時) (レス) id: b5dd81d92a (このIDを非表示/違反報告)
あやりょ 。(プロフ) - ききさん» ききさん、コメントありがとうございます!随分とお待たせしてすいませんm(_ _)m更新、頑張りますね!! (2017年10月23日 2時) (レス) id: b331d663ec (このIDを非表示/違反報告)
きき - 更新されるのをずっと待ってます(*^▽^*)お願いしますm(_ _)m (2017年10月22日 12時) (レス) id: b5dd81d92a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あやりょ 。 | 作者ホームページ:http://antyan  
作成日時:2017年9月1日 16時

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