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a.b.i.l.i.t.y/目覚め 11.D ページ14

「さてと。」



地図を4つ折りにしてポケットへしまった伊野ちゃんが俺達をグルリと一目見渡す。



「さっきはあんな事言ったけど…
正直、俺は反対したい。」


「え?」



少し厳しい表情で言った言葉に思わず声が漏れる。

けれど伊野ちゃんの表情は変わらず、言葉を続けた。



「此処は敵陣地。しかも地下の23階。何処で何が起こるかも分かんない。冷静に考えても危険過ぎる。」


「でもっ、山ちゃんが危ない目にあってたらどうするのっ?!早く助けに行ってあげなきゃ…っ」


「圭人。じゃあ聞くけど、この赤丸に山田が居るっていう確信は?罠かも知んないよ?」


「そりゃ……行って、みなきゃ…」



少し感情的になっている圭人を宥めるように冷静に返事、という忠告を続ける伊野ちゃん。

その間髪入れずの答えに圭人はおろか全員が考えるように目線が落ちた。



「他の皆はどう…?それでも、山田を助けたい?」



常に冷静に、客観的に安全と危険を天秤に掛けている伊野ちゃん。

その人がそう言うのならば大人しく身を引いていたい所だけれど………


少なくとも今は…、俺は、違う。



「俺は、山田を助けに行く。」


「………どうして?
素直に大人しく此処で待ってらんない?」


「山田が、メンバー全員が目の前に居るなら、俺はいくらでも大人しくするよ。」


「大ちゃん…。」



はは……おっかしい。


さっきまで頭の中大混乱で何にも整理つかなかったのに。

今はやけに思考がクリアで落ち着いてるわ。

伊野ちゃんにもスグに返事出来てる。



「……、」


「俺はね、伊野ちゃん。」



まだ何か言いたそうな伊野ちゃんの表情に強く眼差しを送る。


大丈夫。
ちゃんと。ちゃんと伊野ちゃんの言っている事は十分伝わってる。

けれどそう言われたって俺にはもう止めようとする気持ちはないだけなんだ。


俺に今流れる感情は。

余計な思考を全て止めた中で生まれる想いは。



「みんな、全員が俺のそばに居ればいい。」



ただそれだけ。


たったその、一つだ。

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あやりょ 。(プロフ) - ゆい花さん» 本当に長い期間更新を空けてしまってすいません(T_T)優しいお言葉本当に嬉しいです!ありがとうございます!ゆっくりですが、今後もよろしくお願いします<(_ _)> (2019年2月27日 20時) (レス) id: 3f72280c96 (このIDを非表示/違反報告)
ゆい花(プロフ) - 久しぶりの更新で嬉しいです!これからもあやりよ。さんのペースで頑張ってください。応援しています(o^^o) (2019年2月26日 20時) (レス) id: c6ccc5474f (このIDを非表示/違反報告)
きき - はい(((o(*゚▽゚*)o)))頑張ってください応援してます(^O^) (2017年10月24日 10時) (レス) id: b5dd81d92a (このIDを非表示/違反報告)
あやりょ 。(プロフ) - ききさん» ききさん、コメントありがとうございます!随分とお待たせしてすいませんm(_ _)m更新、頑張りますね!! (2017年10月23日 2時) (レス) id: b331d663ec (このIDを非表示/違反報告)
きき - 更新されるのをずっと待ってます(*^▽^*)お願いしますm(_ _)m (2017年10月22日 12時) (レス) id: b5dd81d92a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あやりょ 。 | 作者ホームページ:http://antyan  
作成日時:2017年9月1日 16時

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