【あんスタ】転校生と愉快すぎる仲間たち。（２） (ページ31)

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甘いプロポーズ。ページ31

近付く七種の肩を片手で突き飛ばした。
その拍子に七種がよろめき掴まれていた手が離される。
掴まれていた右手首はくっきりと手の形が付いていて。

「…Aさん、」
『私、戻るから…！！敬人、行こう』
「お、おい！」

一刻も早くその場を離れたくて敬人の手を無理矢理引いて教室に戻る事にした。

あんなに恐怖を感じさせられたのは初めてだった。
ツッコミどころじゃないよあれは。

__そして裏庭を後にして自分達の教室に戻って来た。

ガラッ

「あっ、Aちゃんに敬人くん！遅かったですね～。」

教室の中は殆ど片付けられていてホウキを持ったつむぎ先輩達が居た。
後半も終わり片付けをしていた最中だろう。

「お帰り、A！」
「お二人共お疲れ様でーす！」
「後半も満席だったヨ。」
『皆、お疲れ様！』

他の皆もそれぞれ片付けをしてくれていた。
皆の顔を見ている限り上手くいったのだろう。

色々あったけど上手くいって良かった…。
それだけが救いだ。

「A。」
『何？敬人』

隣に棒立ちしていた敬人に名前を呼ばれた。
手には射的の時取ったであろう手のひらサイズの箱。
中身は知らないが結構高級感がある群青色の箱だ。

「左手を出して欲しい。」
『左手？良いけど…』

言われた通りに左手を差し出せば優しく手を掴まれ薬指にダイヤが埋め込まれた指輪を通された。

『指輪…？』

これってまさか箱の中身…！？指輪だったの！？
いやそうじゃない、こんなのプロポーズみたいで恥ずかしい…！

「さっきの勝負ではみっともない姿を見せてしまったが、お前を好きという気持ちは誰にも負けない自信がある。
だから受け取ってくれ。」
『わたた私に！？』

敬人に恋愛感情は無いがこんな事をされたら不覚にも胸が高鳴ってしまう。

「近い将来は本物を貴様に渡せる様な男になってみせる。
好きだ、A。」
『ちょった、タンマ！！無理！！心臓発作起きるから！！』

恥ずかしさの余り顔を両手で覆って敬人に背を向けた。
恋愛経験0の私にこれは心臓に悪すぎる…。

「Aちゃん？どうしました？」
「顔赤いよ！？風邪ひいたの！？」
「なら俺が保健室に連れて行きます！！ひなた君にお任せ！！」
「キミ達空気読めないノ？」
『ううんっ！なんでもない！さぁお掃除しよう！！！』

恥ずかしさを誤魔化して大袈裟に動く。

きっと今日の事は一生忘れる事は無いだろうー。