【実況者】我慢しなくちゃ【キヨ】

第4話 ページ4

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『キヨ、お風呂借りるね』

キヨ｢んー。あー、ちょっと待ってA｣

『ん？』

キヨ｢今日、家帰ってな｣

『え、なんで？』

キヨ｢明日、レトさん家に来るから｣

『別に、私は気にしないけど』

キヨ｢俺がやだ。お前とレトさん会わせたくないもん｣


これが普通の恋人なら、｢嫉妬してるんだな｣って思うだろうけど彼の場合は違うだろう。きっと、私がキヨに相応しくないから。だから、レトルトさんと会わせたくないのだろう。


キヨの彼女、なんて言葉はただの肩書きでキヨの友好関係なんて私は全く知らない。高校から仲が良いグループの最終兵器俺達でさえ、会ったことあるのはフジぐらいだ。そんなフジもキヨから｢もう会うな｣なんて言われてから会う機会は無くなったけど。


何がいけなかったのか分からない。確かに｢A｣、『フジ』と呼び合うくらいには仲良くはなったけど一体どこがキヨの逆鱗に触れたのか。彼に聞いても一切教えてくれないし、意味分かんない。


キヨ｢A？どうした？｣

『…ううん、何でもない。泊まれないならお風呂はいいや。もう帰るね』

キヨ｢おー、そうか。気を付けてな｣

『うん』

彼は私にヒラリ、と手を振るとパソコンと向き合った。


見送りとか、してくれないんだ。｢ご飯食べてく？｣とか言ってくれないんだ。


そんな思いが頭をよぎったけど、直ぐに振り払った。彼は編集で忙しい。私のために時間を割く訳にはいかない。


私はキヨの邪魔にならないよう静かに家を出た。


最後に彼に触れたのはいつだろう。手を繋ぐくらいは、したかったなぁ。


でも、そんなこと出来ない。彼は忙しいから。





彼に触れないよう、我慢しなくちゃ。




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