『初恋の誓い』【八乙女楽】「第二部」 (ページ29)

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目の前に広がる青く澄んだ海に、至るところに溢れ返る沢山の人達。

普段じゃ味わえない優越感に浸りながら、私は浜辺を歩いていた。

今は季節的に夏であり流石沖縄と言うべきか、尋常じゃない暑さで額には汗が滲んでいる。

気温は軽く30度を越えていて、夏特有の蒸し暑さが胸を焦がす。

何故私が沖縄に来ているのか、それは簡単、夏はどんなアイドルも露出が多くなる時期だ。

だから沖縄が打ってつけの場所。
つまりは水着を着るのに最適な所なのである。

一応今はビギニを着ているが、撮影の時以外は日焼けをしてしまうのでパーカーを上から着ている。

今は休憩中なのでホテルにでも向かっているのだが、そこで知り合いを発見した。

玄関口で女の人にナンパされている十さんだ。

見るからに困った様子だが、多分あの優しさから上手く断れないのだろう。

「…どうかされたんですか？奥さん。」

「あら？あなたは…桜野Aさん？」

女の人の後ろからひょこっと顔を出し話し掛ければ、驚いたように此方を向いた。

ちらっと十さんに目線を送れば一瞬目を見開いて、私の意図が分かったのか口パクでありがとうと言ってくる。

その容姿とは違う可愛い仕草に少しキュンとしてしまった。

これがギャップ萌えというものだろうか。