『初恋の誓い』【八乙女楽】「第二部」 (ページ26)

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「…っ、…」

心臓の音が聞こえてしまいそうで、恥ずかしくなる。

「…意識、してるよ。十さんより。」

言ってから我に返ったように気付く。
意識してるの所までは良かったが、十さんよりはいらなかったんじゃないだろうか？

一度そう思うと後悔の念が押し寄せてきて、尋常じゃない恥ずかしさが襲ってくる。

何か、告白してるみたいだ。

案の定、楽は目を見開いて驚いている。
が、それも束の間。

見た事がない程の優しい笑みを向けてきた。

「はは…。顔真っ赤だな。俺も人の事言えねえんだけど。」

彼のそんな柔らかい表情、初めて見た。

…もっと、見ていたいかも。

じっと見ていた私の視線に気付くと、いつもの真顔に戻ってしまった。

「何だよ、そんな見て。顔に何か付いてるか？」

「えっ、そういう訳じゃなくて、…素敵な笑顔だなと思って。」

眉を潜めて不思議そうに見てきた楽の言葉に、すぐに否定するが余計な事まで言ってしまいせっかく覚めてきた顔の赤みも徐々に赤くなっていく。

当の本人は一瞬驚いた顔をしたが、口元を緩めてまた柔らかく微笑んだ。

「ありがとな。けど、俺はお前の方が良い笑顔をすると思うけどな。」

そんな彼に不覚にも心臓が高く跳ねる。

「ど、どんな笑顔してるの！？」

「可愛い笑顔。」

不安になって尋ねれば素直に言ってくる彼の言葉に恥ずかしくなって俯いた。