『初恋の誓い』【八乙女楽】「第二部」 (ページ22)

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いくつものカメラがゆっくりと私を写す。

上からの照明、少しの機械音、耳を澄ませばあらゆる音が聞こえてきた。

それと同時に集中力も高まり、不思議と自信も溢れてくる。

始まると同時に笑顔を見せ、言われた通りの言葉を並べていく。

最初の私の相手は天君。

プロ意識が高い彼は、プライベートとは全く違う笑顔を見せ人の心を惹き付ける。

そして、不自然のないようゆっくりと手を伸ばした。

少しずつ体を近付け抱き締めた後、カメラに向かって妖艶に微笑む。

「カッーート！！」

監督は私達の方を見て満足そうに笑うと、「文句なしだ！」と言ってくれた。

天君と私も笑い返しお礼を言う。

スタッフさん達もとても嬉しそうな顔をしていて、良かったと胸を撫で下ろした。

ほっと安心した私を見て天君は驚いたように此方を見て言った。

「君凄いね。本当に新人？」

そう言われた事が嬉しくて自然と頬が緩む。

それに天君は簡単に人を誉めるタイプじゃなさそうだし、思った事ははっきり言うタイプだろうから、そういう事を言われるとやはり嬉しいものだ。
　

「ありがとうございます！でも天君の方が凄かったですよ！」

「……天君…？」

「あ、」

言った後に気付く。
天君とは私が心の中で呼んでいるだけであって、本来なら九条さんだろう。

それに馴れ馴れしいの好きじゃなさそうだし。