NO.31 ページ33
明らかに疑っている楽に、Aは内心焦りどうしよう…と悩むが、楽はお構い無しに近付いてくる。
目の前に来るなり両手で顔を掴み、"ちゃんと俺を見て言えよ"と真っ直ぐ見つめた。
その瞳が見ていられなくなり背けようとするが、楽の瞳が捕らえて離さない。
段々我慢の限界になってくるAは、溜めていた涙を一気に流した。
当然楽はぎょっとした顔になり焦り出す。
「…なっ、何で泣くんだよ!…っわ、悪かったから…泣くな!」
さっきの真剣さはどこにいったのか、慌て出すその姿にAは静かに笑みを溢した。
けどすぐに悲しそうな顔になり、俯きながら言う。
「…私、引っ越す事になっちゃったんだ…。」
とても辛そうに告げたAに、今までにないくらいの驚いた顔をする楽に余計胸が痛む。
暫く、時が止まったかのように動かなくなった楽に、何も言えず下を向くA。
その沈黙を破ったのは楽の方だった。
「…いつ、何だ…?」
震えた声で弱々しく言う楽は、まるで別人みたいだ。
何を聞いているのかぐらいは言わなくても分かる。
「…っ、…一週間後…。」
絞り出すように言ったAの声も、今にも崩れ落ちそうな程に震えていた。
顔をゆっくり上げて目に写ったのは、今まで見た事がない程に動揺している楽の姿だった。
244人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
琳架 - オリジナルフラグを外してくださいね。 (2018年3月17日 12時) (携帯から) (レス) id: c9d4810d09 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:月神姫 | 作成日時:2018年3月17日 12時