『初恋の誓い』【八乙女楽】「第一部」 (ページ23)

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自身より年下な筈の少女なのに、その後ろ姿はとてもそうは思えない程頼もしく、安心させる背中だった。

その姿に、どこか期待をしてしまっている奈歩は、道を案内をして着いていっている。

Aは無意識で何も考えず本能のままに動いた行動は、もう既に人の心を救っているのかもしれない。

奈歩の家に着くと、不法侵入だとかは全く気にせずAは入っていく。

と言っても、奈歩が居るのだから犯罪にはならないのだが…。

「奈歩ー。帰ってきたのー？」

一番早くに物音に気付いたのは母親の方だった。

すぐに父親もリビングから出てきたが、Aを見ると戸惑いの表情を見せる。

「…えっと、…お友達？」

「はい！そうです！だから言いに来ました！」

友達と聞かれ奈歩は何て言えばいいのか迷ったが、Aの迷いのない即答の返事に目を丸くした。

そう思ってくれていたという事が嬉しく、少し心の重みが取れた気がした。

「あの、杉本……奈歩さんの気持ちも少しは考えて上げてくれませんか？」

この家は皆杉本と言う名字だという事に気付き、下の名前で呼ぶ。

Aの言葉に驚いたように目を見開く母。

「…どうして喧嘩してるのかは、それぞれの家の事情だから突っ込めないけど……、それを見て奈歩さんがどんな気持ちになるかは考えて上げて下さい！」

次に驚いたのは奈歩だった。
Aがちゃんと考えていたという事に驚きを示す。

両親も黙り込んでしまっている。