『初恋の誓い』【八乙女楽】「第一部」 (ページ17)

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蕎麦処山村はどうやら人気なお店のようで、人が多く、店員さん達も慌ただしく行ったり来たりを繰り返している。

Aと楽を見ると確信しているものの、一応聞いてみるのだった。

「二人とも食べに来たんだよね？」

「うん！」

店員さんが念の為に聞いたのは、楽もいたからだろう。

案内を始めた店員さんに続くようにそれを追い掛ける。

端の席に座ってメニューを開き始めるAの目は輝いていて、楽はそれを見て静かに笑っていた。

頼んだ蕎麦が置かれると嬉しそうな顔をして食べ始めるAだが、その速さは尋常じゃない。

楽も食べるのは早い方だが、蕎麦なので結構味わって食べているようだ。

「そういえば、楽は山田さんと知り合いなの？」

先程案内をしてくれた店員、山田の話をふると、食べていた手を止める。

「此処、俺のお爺ちゃんが経営してんだ。だから此処で働いてる店員達とは顔見知りが多いんだよな。」

それを聞いてAは驚いた顔をするが嬉しそうな顔をした。

「じゃあ楽は此処の跡取りなの？」

「え、」

Aの思ってもみない質問に固まる楽。

それを見てAは"違うの？"と首を傾げている。