魔界にある学院には皆に愛されている女子がいます！

距離感【ユウside】 ページ11

言いながら少しだけ身を屈めた彼から、しっとりと甘いワインの香りがして＿＿…

とん、と肩が触れ合う。

両手を長い指先でそっと触れられた。


ユウ「っ……」

ロイ「こうして、優しく指を開いて、ゴブレットを愛でるようにかざすんです」


耳元で囁かれ、くすぐったさと猛烈な羞恥を感じた。
Aさんに助けを求めようと目線を送るものの、彼女は優しく微笑んだままじっとゴブレットを見つめている。

この世界での生徒と講師の距離感はこれが普通なのだろうか……？


『あ……ユウちゃん、ワインを飲んだことはあるかしら？』


ぎこちなく頷けば、ただそれだけのことをとても褒めるように極上の笑みが返ってくる。


ロイ「では、味わったワインの色や、舌触りを思い浮かべてみてください」

ユウ(そんなの、この状況じゃ無理……っ)


握られた手の感触。
完璧に優しい笑顔とはミスマッチに思える、彼の冷えた指先の温度。
そして両側にいる二人と前にいる一人の視線と＿＿＿。
何よりも、『ロイ様ファンクラブ過激派』(勝手に命名)からの、殺気……！


ユウ(ワインってどんな味だったっけ？？？)

『ロイ、少し休憩にしましょう』

ロイ「それもそうですね」


触れていた手がそっと離れていき、適切な距離感が戻ってきた。

休憩と……【貴方side】→←できない【ユウside】

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