【鬼滅の刃】転生したので暗躍しようと思います

。※（微） ページ43

見覚えのある、この超常現象。

そう。忘れもしない、初めて日中活動していた鬼を見つけたとき、鬼を喰った黒い球。

「あなた……あの時の……!?」

女は答えることなく前方に立っている蜘蛛男に声をかけた。

「良かッたなァ手前ェ、手前ェにはちと伝言を頼まなきゃなンねェから生かしといてやるよ」

「なんで僕が君に指図されなきゃならないの？」

残り1人となった蜘蛛男の鬼は動揺を見せることなく、血鬼術を繰り出した。――今まで見せたことない術だ。

細い網目状の糸が女の目前へと迫る。

逃れるためには、斬るしかない。

「あぶな……っ!?」

い。

そう叫ぶ直前。

糸が勝手に(・・・)斬れた。

ハラハラと力なく雪の上に落ちる。

しかもそこに女の姿はない。

どこ、探すと女は鬼の目の前へ移動していた。

その鬼は既に輪切りにされて体のパーツが地面に転がっている。

――この間、0.5秒。

「は――」

一体なにが……

1秒にも満たない出来事に驚きを通り越して脱帽していた。

(義勇さんの動きでさえ見切れたこの目にはなにも映らなかった……)

筋肉の動きも、呼吸も、霞む腕も。

糸が勝手に斬れたようにしか見えなかった。

10ｍほどあった距離を詰めた動きも全く見えなかった。

まるで瞬間移動したようだ。

更にはいつの間にか手に刀が握られていて、恐らくその刀で鬼を輪切りに……

強い。強すぎる。

(この人……一体何者!?)


ドス、と鈍い音がした。

女が刀で蜘蛛男の脳を串刺しにした音だ。

「どの口が言ッてンだ？なァおい」

空気が凍りそうなほど冷たい声。

女からは空間が歪みそうなほどの高密度の殺気が放たれ、向けられていない癸七子でさえ胸が押さえつけられたように苦しくなった。

一拍置いて、女は口を開いた。

「鬼舞辻(・・・)に伝えな。“オレの呪符札(・・・・・・)を盗ンで悪用しやがッて、のうのうと生きてられると思うなよ。

手前ェは必ずオレがぶッ殺す”ッてなァ」

「……!?」

鬼舞辻!?

予想外な言葉に癸七子は息を呑んだ。

女はいつの間にか手にしていた煙管をトントンと手首に打ち付ける。

すると、女の横の空間がぐにゃりと歪む超常現象が起こった。

もう、乾いた笑いが出そうだった。

その歪みに蜘蛛男が投げ入れられる。体が歪みに触れると消えていき、その不可思議な歪みは転送魔法のようにどこか別の場所に繋がっているのだろうと推測する。

輪切りにされた蜘蛛男の体が全部投げ入れられ、

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