女だけど真選組総長やってますが何か？ ６

小さな溝 ページ42

，

山崎が二人に状況を説明すること数分後……


「山崎ィテメェ！！なんでその件今まで黙ってた！！」

「すいませんんんん！！ 」


近藤によって〆かけられていた。


「副長にかたく口を止められていたんです！！

親類縁者に攘夷浪士と関係のある者がいる事が隊内に知れれば、沖田隊長が真選組での立場を失うと……！」


総悟の目が見開かれた

じゃあ、前の夕方、土方に叩きのめされた時のあの言葉は……


(知ったこっちゃねーんだよ、お前のことなんざ)

あの言葉は――


総悟「ッ、あの野郎ォ！！」

近藤「お前は動くな」

今にも飛び出して行きそうな総悟を、近藤は片手で制す

そんな近藤を、総悟は不満げな瞳で見上げた

近藤「…側にいてやれ」

気にせずチラリとミツバに目を移す
あいも変わらず殺風景な部屋に苦しそうなミツバが横たわっている


近藤「それに…今のお前では足手まといだ。
剣に迷いのあるやつは死ぬ」

その言葉に総悟は、自分を遮る近藤の片手をガシりと掴む

総悟「俺達を信じろってかィ。
冗談じゃねェ。俺は奴に貸しを作るのだきゃあ御免こうむるぜ」

ギシシと骨の軋む音が近藤の腕から出る
それでも近藤は表情を崩さない

総悟「近藤さん、アンタは俺を誤解している。
俺はアンタが思う程キレイじゃねェ。人を信じるとかそういう奴じゃねーんだ。

テメーのことしか考えちゃいねェ」

ボロボロと、自分の自覚している悪い所を零す
今更自分で自分に何を言っても、虚しさなんてありはしないと。

総悟「アンタ達といても溝を感じてた。俺はアンタらとは違うって。
だから姉上もアンタもAさんもアイツの所へ…」


((ドガァ……！！))

近藤の拳が総悟の顔を殴り飛ばした
勢いよく病院の器具を載せた台車にぶつかり、辺りに水やら器具やらが散らばった


総悟「イテテ……。随分と俺には手厳しいな近藤さんは」

近藤「そりゃお前がガキだからだ。トシがお前と同じ事言ってたら奴も殴ったよ。
Aちゃんにはチョップだな。

俺達はそういう仲だろ」

誰かが曲がれば殴ってでも正す。自分が曲がれば殴ってもらう。そんな連中だから皆真っ直ぐ生きれたんだ


近藤「てめーが勝手に掘った小せェ溝なんて俺達は知らねぇよそんなもん。

何度でも飛び越えてって、何度でもテメーを殴ってやる」


……だから、俺が曲がった時はお前が殴ってくれよ。

そう言い残して、近藤は部屋を出ていった

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