女だけど真選組総長やってますが何か？ ６

気に食わねぇ ページ30

《総悟side》



＿＿気に食わねぇ。

昔から、土方(アイツ)は気に食わないやつだった


自分より後に来たくせに、タメ口だし生意気だし。


そのくせ近藤さんも、アイツにばっか構う


姉上の楽しそうな笑みがアイツばかりに向けられる



＿＿気に食わねぇ。



土方が気に食わねぇ

土方ばかり構う皆が気に食わねぇ



俺はずっと土方が気に食わなかった。

でも、もっと土方が気に食わなくなったのは―――





『なんだこのクソガキ。シバいていい？』




····アンタが来てからだ。

土方より後に来て、俺より剣術が上手くて、俺に対しても言葉遣いが荒くて。

近藤さんも姉上も掻っ攫って。


最初こそ土方以上に気に食わなかった奴だったのに、
喧嘩も稽古も巫山戯合うのも。道場で過ごしてく中で一番隣に居てくれたのもアンタだった


素直になれねぇ俺と、真正面から向き合ってくれたのはアンタだ



アンタが、Aさんが隣に居てくれりゃアンタのように誰よりも強くなれる気がした




それなのに、





『土方ぁ、私の木刀知らない？』



『ねー土方！今日は鍛錬サボっても····
え？駄目？』



『ねーえー土方ーお腹空いたー』



『土方ァ！今日こそブチのめしてやるから覚悟しろ！』



なんで土方ばかり呼ぶ？なんで土方にしか見せない顔をする？なんで土方ばかり頼る？


それでも、アンタに構って貰たくて態とちょっかいかけたりしても····





沖田「おいバカ木！今日は俺と勝負しろ！」



『悪ぃ。今日は土方と打ち合うって約束してんだ。
明日にバカ木って言った事も兼ねてシバいてやるから待ってろ』





土方土方土方土方土方土方土方····！


アンタまでも土方の元ヘ行きやがる





俺の隣にはAさんがいて、その隣には土方がいて。
俺の反対側で、当たり前のようにAさんの隣を陣取るアイツが気に食わねぇ


俺から姉上も近藤さんも取ったくせに、Aさんの側に居続けるアイツが気に食わねぇ――――








(そう、昔からアイツは気に食わねぇ奴だった)



夕暮れ時。
屯所内の道場で汗水垂らして素振りをし続ける土方を柱に寄りかかって眺めてた




沖田「····土方さん」



壁に寄りかかったまま声をかけると、肩で息をしながらゆっくり顔を向けられる






「一手、ご教授してもらってもいいですかね？」



アンタには話したいことが山程あるんで――

その言葉を、腹の中へ飲み込んだ

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