女だけど真選組総長やってますが何か？ ４

　” ページ29

,




ある程度片付いて後ろを振り向くと、いつの間にか黒い影が目の前まで迫っていた




『ぇ、』 (( ＿＿＿＿＿ﾄﾞｺﾞｫｫｫﾝﾝﾝｯ!!







私の掠れた声は大きな音で掻き消され、正面と背中に激痛が走った

本日二回目、柳生家の襖にぶち当たったらしい






『ぅゲホっ、ゲッ、、おい新八！

大丈夫か！？』



体制を起こして私の上でぐったりとしている新八に声をかけると、大丈夫です、との返事が返ってきた


その言葉にホッとする間もなく背後から聞こえる足音に息を飲んだ




『惚れた女の血縁者にゃ、随分と手厳しいじゃねーの。
お嬢さん』



九兵衛「妙ちゃんに身を張って守ってもらったというのにも関わらず、二度も僕に突っかかるなんて。

君はとんだ命知らずだ」



『命知らずぅ？

そんなの侍やってりゃ命より大事なモンが懸かってくんだ。それさえ自覚できりゃ、命なんて知ったこっちゃないね。

それに、こんな所で死ぬ気なんてサラサラない。
なんてったって新八達(コイツら)が居るからな』



新八の肩にポンポンと手を置いて自慢げに話す私に、九兵衛は分かってないなとでも云うように首を横に振った





九兵衛「君は本当に何も分かっていない。


妙ちゃんが笑顔の裏に抱えている物も、女が侍としての生きるのがどれだけ辛いことかも。



····新八君がどれだけ無力かも」




『あ゛ァ！？テメェ何好き勝手言って、』




新八「良いんですAさんッ、！」



新八の声に口を噤むと、新八はそっぽを向いてただ一点を見つめていた

右手に握られている木刀がギリギリと悲鳴を上げるほど強く握りしめられている





九兵衛「妙ちゃんの後ろで影に隠れていた君が、彼女がどんな顔をしていたのか見ていたか？
妙ちゃんがどのような気持ちで守っていたのか分かるか？」


過去を哀れむように、今の自分に何かを戒めるかのように左目の眼帯に指先を添えた九兵衛は目を伏せる




「僕は見えていたさ。
例え片目だけになろうともね」



キュッと釣り上げらた右瞳に、いかにも不機嫌ですと顔に出ている私が反射して写っている

実際に不機嫌だし。






九兵衛「それなのに何も知らない、何も分かってない君が！
侍などと名乗ってこの戦いに口を―――」




『―――出すに決まってんだろォ！！！』





自分の口から出た言葉は、自分が思っているよりも空気を揺らし、建物や家具がビリビリと音を立てた

　”→←　”

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す