Fate/Unknown/Parede (ページ7)

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特に何事も無く帰ってきた私とセイバー(霊体化中)

そういえば食後の薬を飲み忘れていたのを忘思い出した。

帰るなり「ちょっと見張りしといて」と言い出して駆けていった私は滑稽に写っただろうか。

家(工房)には私しかいないのに。

…勿論、ご近所さんの目から、である。

コップに入れた水を用意して、
ちょっと水を口に含み薬を口に。
コップにはまだ水がある。口をつけて－－

－－流し込むようにひたすら飲む！

…この手に限る(他に思いつかない)

それを見ていたのかセイバーに「女子なのに豪快だな、まるで母のようだ」と呆れられた。

そうじゃないと飲めないんだからしかたない。

セイバーは言う。

「…薬とやらがあるのは聖杯から得ているが、なぜそんなに多いのだ？」

「…栄養の吸収を阻害してる腫瘍があって、手術しても取れないだろうって言われたんだ。

だから、阻害された分もこうやって補わなくちゃいけなくてね」

「つらいけど、これが私の普通。」

「いくら憐れに思われても、私の人生はこれしかなくて。」

「人生のレールを踏み外さずに進んで、それで幸せに…

なれるのかなあ、私」

「…なるようになる。世界とはそういうものだ。

苦しむ者にはどんな形であれ救済が訪れる。

痛みに耐えかねて頭が放棄するやもしれん。

飢饉に遭えば飢えて飢えて、死ぬかもしれん。

……病に導かれて死ぬかもしれない。

それらは全て、神々の思し召し。

気ままに生きれば必ず何かしらで救われるだろうよ！」

…確かに、そうかもしれない。

救済(衰弱死)されるとしても。

そこに至るまでの私の人生が、幸せなものであってほしい。

「－－それは、浅はかでしょうか？」

「…強いて言うならば否。

それは汝が決めることよ。

我は生憎と常人とは違う。

判断を委ねられても困るとしか言えぬな」

そっかー、そうだよね。

返事を返そうとしても、何故か声が出ない。

気付けば私は、涙していたのである。