三つ巴:B ページ17
これは三つ巴の少し前。
夜道を(担がれて)走る。
目指すは音の在処。
不意に、ぞくりとした。
「幼?」
「これはただならぬ剣豪の気配だ。
滾るなあ、滾るなあ…」
「…そう」
「お前に真名を明かしてやろう」
「あれ、早くない?」
「剣豪の前に名を隠すとは面白くないからな。」
「それと、もうセイバーで構わんだろう。
現世に出るならばそれでもいいが、
獲物を見れば誰であろうとセイバーと気付く故にな」
「うん、セイバー」
「…我の名はヤマトヲグナだ。
日ノ本で言う、ヤマトタケルの名が変わる前の我である」
『
それが真名なのだという。
宝具の真名解放という必殺技みたいなものは、色々と制約があるらしい。
まず1つ、自分が相手を強いと思うこと。
2つ、強者と認めた相手が2人いること。
3つ、その2人が視界に入っていること。
それさえ揃えば、
ただ、そこまで話してセイバーはふと何かを思い出したらしい。
「…そういえば、我のスキルは欠けていたな」
「えっ、あー、そうだね?」
「恐らくこれは枷。
『名替わりの敬』は、ヤマトヲグナがヤマトタケルになった際のスキルらしくてな。
それを失ったとすると…宝具を使ってどうなるか分からない。
こういう場合大抵ろくな事にならん。
だからといって、躊躇うなよマスター。
それを使うという事は、使わなければ押し切れず負ける可能性があるということだ。
勝利を得るためには不確定でさえも利用しろ、いいな?」
「は、はいっ!?」
「おっと足を踏み外しかけた。
…使用して何が起こるかは分からない。警戒は解くなよ」
そう言ってセイバーは私を廃屋に置いていった。
危険が及ばない程度の距離?とするとセイバーにはかなりの把握能力があるということか。
隠蔽の魔術。気を逸らす魔術。人避けの魔術。
多数の魔術を重ね、この廃屋は一時的に工房となった。
…メロンパンが家にあって助かった…。
お腹がすいて仕方ないけどこれが普通だし大丈夫。
糸を巡らすように、セイバーを中心に蜘蛛の巣のように。
特定の相手にだけ繋がる魔力の流れを作り出す。
マスターとサーヴァントのパスを真似たものだ。
これで、ここからでも支援ができる。
さあ、夜はこれからだ−−
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作者名:石蕗 | 作成日時:2018年1月16日 14時