1 ページ1
ポートマフィアの赤い絨毯の上を歩き、首領のところに行く。
毎日毎日それの繰り返し。
終わりなど見えるわけもなく。
ある日私はポートマフィアの屋上から飛び降りた。
それ以来、記憶がない。
首領曰くただの記憶喪失、だそうだ。
誰か大切な人が居た気がする。
何処に行ってしまったのだろう。
記憶がないから確認することもできない。
私はぼんやりと数ヶ月を過ごした。
それからは任務やら、襲撃やらで忙しかった。
やがて4年の歳月がたった。
その時私はかつての友人のことを思い出した。
「…太宰」
そう、丁度目の前にいる人物だ。
何故忘れていた?
全てあの日に置いてきてしまったのか。
なら、もう一度かつてのように何かをすればいいのではないか。
「ねぇ 太宰」
「私は昔何をしていた?」
私は問いを投げた。
「4年前の君はみんなにピアノを弾いていた」
「君は趣味程度だと言っていたよ」
太宰はそういった。
「…そうか」
私は礼を言ってその場を立ち去った。
「君を必ず取り戻す」
太宰がそういったのが私に聞こえることはなかった。
20人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:零華 普 | 作成日時:2022年9月12日 9時