文系少女は魔法の世界で愛に生きたいⅠ (ページ2)

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友となる貴女へページ2

汽車に揺られてもう随分と経つ。
ホグワーツ特急は至って安全運転で、危惧していた乗り物酔いの心配もない。

早めに取った個室には気心の知れた友人達しかいない為、居心地は良い。
良いが、長閑な田園風景を見つめ続けるのも飽きた頃合いだ。

どうやら飽きたのは私だけじゃ無い様子だけれど。

「A、この列車にはハリー・ポッターが乗ってるらしいぞ」

セオドール達が来てたのはこの事か、と数分前の出来事を思い出しながら「私はいいわ」と首を振る。

『喧嘩腰で話しかけに行かないよね？』

「勿論」

心外だ、とでも言うように肩を竦めて出ていくドラコ達。
勿論兄や友人達がグリフィンドールだから、気に食わないからといって喧嘩腰で高圧的な態度を取る様な事はもうないと分かっている＿＿＿＿が、何が起きるか分からないのが人生というものだ。

『さてと、』

ドラコ達が席を離れて行ったのを尻目に、私は立ち上がる。

(まだ早いけど・・・)

そっと袖を通した制服は真新しくて、ちょっと大きめだ。
まだ黒いネクタイがこれから美しい緑色に変わるのかと考えると、口元が緩んでしまう。

「気が早いのではないか」

やれやれ、と言った様子で此方を伺う猫の声で現実へと引き戻される。

『そんなことないわ、私がスリザリンに入寮するのは決定事項だから。』

寮監様のお墨付きよ？と鼻を鳴らせば、カイザーは興味なさげに足をグッと延ばす。

『そんな事より、早く行きましょう』

そう片腕を差し出せば、カイザーは腕を器用に伝って私の肩に落ち着く。

「学校に着いてからでも良いのではないか？」

『善は急げと言うでしょう？』

カイザーは私の思考や感情を共有している為、私のやろうとしている事も大体理解できている。
細やかな感情の機微を感じ取るのは流石に難しいが、確固たる意思や決意などはある程度容易に読み解けるらしい。

『それに、彼女とは打算無しでお友達になりたいと思っているの。』

私と彼女は恐らく、絶対に寮が違うだろうから。学校に着いて組み分け帽子を被る前の方が話しやすさはある。

(此方側の車両に乗っている筈だけど・・・)

乗車する際に彼女が此方側の車両に乗り込んだのを偶然見ていた為、ある程度の目星はついているが。

全ての部屋をノックして回るわけにもいかない。
どうしたものか＿＿＿＿＿＿＿あ、

『見つけた』

お目当ての彼女が座っている個室の扉をコンコンと、３回程ノックする。