束縛の咬魚のゴシップ ページ10
タコちゃんが魔導書を放り投げたあの日、オレは魔法を一時的に無くした。
魔法を失うと、なんか心の中がぽっかり空いてしまったような、どこか寂しい感じがする。
オレにはそれが初めての感覚で、ちょっと楽しくも感じた。
ジェイドが言うには、タコちゃんのユニーク魔法なんだって。
他人の魔法を吸い取るなんて、すごいこと考えるよね。
今は未完成のユニーク魔法……もし完成したらどんな風になっちゃうかな？
久々に楽しいものに出会って、オレもジェイドも手を叩いて喜んだ。
魔法とか音楽とか、大体のものは簡単に出来ちゃうし、ジェイドもつまんなそーな顔するから飽きてたんだよね。
だからオレらはもっと楽しくなる予感を感じ取って、タコちゃんから距離を置いたの。
相変わらずタコちゃんをバカにする陰口ばっか聞くけど、ある時を境に、それが一気に無くなった。
そして、クラスの奴らが急に変になったのはそこからだった。
たしかあの人魚、もっとデブだったよねぇ？
あの人魚も、もっと髪の毛ボサボサだったよねぇ？
ジェイドと一緒にその異変を調べてみても、全然出処が掴めねーの。
「ねぇ、ジェイド。」
「えぇ、フロイド。」
タコちゃんと再会したのは、ミドルスクールに入学してからだった。
初めて会った時は真ん丸で大きかったのに、いつの間にか細くなっててちょービビった。
同じクラスになったから、さっそくオレとジェイドはタコちゃんに話しかけた。
「となりのクラスのデブ人魚が急に激やせして彼女が出来たんだってー。」
「代わりに、彼自慢のテノールがひどいしゃがれ声になたそうです。」
「へぇ、そう。」
タコちゃんはつまんなそうに聞いていた。
「別のクラスのボサボサのクセ毛に悩んでいた人魚も、サラサラで綺麗な金髪になったとか。」
「代わりに、速く泳ぐための大きな尾びれが無くなった。」
「ふぅん、そうなの。」
タコちゃんは読んでいた本を閉じて、オレたちを横目で見て、ゆらゆらと触手を蠢かせ、薄く笑いながら白銀の後ろ髪を撫でた。
他の人魚が同じ仕草をしていたけど、タコちゃんがやるとなんかすげードキドキした。
「ねえ、Aさん。全部君の仕業なんでしょう？」
「……私の？なぜ？」
「そんな強大な魔法、能天気な魚たちには到底使えません。」
「タコちゃん、ずーっと魔法の勉強してたじゃん。」
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フェイタン - 更新頑張ってください！ (2021年2月22日 11時) (
レス) id: 2a27e87c15 (このIDを非表示/違反報告)
ロア(プロフ) - 待ってました！！この作品ほんと好きなので超うれしいです！これからも頑張ってください！！ (2021年2月14日 21時) (レス) id: df3d955625 (このIDを非表示/違反報告)
レモンティー - 久しぶりの更新待ってました！最高です！更新頑張ってください (2021年2月14日 19時) (レス) id: 1029d3705d (このIDを非表示/違反報告)
イデアル(プロフ) - コメント失礼します！読んでいてとっても面白かったです！これからも応援しています！最新待ってます！！！ (2021年1月29日 20時) (レス) id: 8f079ea4bd (このIDを非表示/違反報告)
塩苺(プロフ) - 簡潔に一言だけ…めっちゃくちゃ好きです｡更新頑張ってください！！ (2020年11月20日 1時) (レス) id: 7b3710605c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：マリア | 作成日時：2020年8月23日 3時
