醜い少女のヒディン ページ30
そんな私の心情が、手のひらから伝わったのかはわからないが、クスクスと笑われてしまった。
なんですかそれ……ちゃんとご褒美をあげたじゃない！
「ふふ、そんな可愛らしい顔をされてしまったら……」
「次のワガママも聞きたくなっちゃうよねぇ。」
頭の上にあった私の手を、そっくりな動作でふたりは自身の頬に押し当てる。
触りの良い心地よいざらつき、そして吸い付いてくるみたいに柔らかく沈む頬に不覚にもどきりとした。
少し熱を帯びてしまったことが、手のひらを通して伝わりませんように。
「やあっと、ご褒美もらえたねぇ、ジェイド。」
「ええ、初めは失敗してしまいましたから。」
言わずもがな、それは未完成のユニーク魔法を威嚇と称して発動し、二人に介抱してもらったときのこと。
今では立派な黒歴史として胸の内に燻っていますともええ。
だから掘り返さないでってば！
「そんなに膨れないで。かわいらしい失敗談でしょう？」
「かわいいもんですか！」
「かわいいかわいい〜」
"かわいい"と連呼し、揶揄ってくる。
本来不快だと感じてしまうそれでも、ジェイドから、フロイドからのそれはとても心地よく心臓に着地する。
そんなに言われてしまうと、自分は"かわいい"と錯覚してしまう。
そんなこと……そんなことないわ。
私は醜い、かわいらしくなんてない。
いつ離れていくかわからない双子を相手に心を揺さぶられるなんて、まだまだです。
「……ご褒美は終わりです。さ、仕事を再開しますよ。」
二人から両手を引き抜くと、わずかなぬくもりだけが残されていた。
もしここに二人がいなければ、そのやさしさの残滓に甘えてしまうところだったでしょう。
「ええ、手伝います。」
「がんばったらまたご褒美ちょーだい？A！」
「ええ。頑張った分だけ、それ相応の対価をお支払いします。」
早速ジェイドとフロイドが集めてきた資料に目を通し、使える情報を複数のメモに書きだし、それと同時進行で次のお手伝いをリストアップする。
「……できました。次はこれをお願いします」
「かしこまりました」
「いいよぉ」
今自分が回せる最高速度で脳内に血を巡らす。
私を笑ったひとたち全員を相手に見返す最大のチャンス。
絶対に掴んで見せるわ！
■□■□■
新作作っちゃいました。
厭世家のキルケ【ツイステ】
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フェイタン - 更新頑張ってください！ (2021年2月22日 11時) (
レス) id: 2a27e87c15 (このIDを非表示/違反報告)
ロア(プロフ) - 待ってました！！この作品ほんと好きなので超うれしいです！これからも頑張ってください！！ (2021年2月14日 21時) (レス) id: df3d955625 (このIDを非表示/違反報告)
レモンティー - 久しぶりの更新待ってました！最高です！更新頑張ってください (2021年2月14日 19時) (レス) id: 1029d3705d (このIDを非表示/違反報告)
イデアル(プロフ) - コメント失礼します！読んでいてとっても面白かったです！これからも応援しています！最新待ってます！！！ (2021年1月29日 20時) (レス) id: 8f079ea4bd (このIDを非表示/違反報告)
塩苺(プロフ) - 簡潔に一言だけ…めっちゃくちゃ好きです｡更新頑張ってください！！ (2020年11月20日 1時) (レス) id: 7b3710605c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：マリア | 作成日時：2020年8月23日 3時
