日常記録3【爆豪勝己】 (ページ27)

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爆｢まァ、かなり煙吸ってから一応見てもらえ｣

怪我がなくてよかった、そう言ってほんの少し口角を上げた彼に目が離せない

立ち上がってパッパッと砂埃を払い、もう一度こちらを見た

貴｢腕、怪我してる｣

私の方へ差し伸べようとした彼の手を見て鮮血に気づく

爆｢あー、こんなンなんでもねぇよ｣

貴｢私を運んでる時に…｣

朦朧としていたけど、覚えてる
私を助けてくれた時にはなかった傷だ

爆｢あんたのせいじゃねぇし、こんくらい平気だわ

ヒーロー舐めんな｣

どうしよう、と俯くとジャリっと彼が近づく音がして
腰を屈めた彼の赤い眼ともう一度視線が絡む

爆｢ンな顔すんじゃねぇ

お前に傷跡残る方が困ンだろ｣

そう言って頬をムニっと挟まれた

貴｢いひゃい…｣

気の抜けた私の声にニィっと笑った顔は少しあどけなくて、心の中でストンと何かが落ちた

それが恋だというのに気づくのはまだ少し先の話

爆｢じゃ、しっかり見てもらえよ｣

わしゃわしゃっと私の髪を無造作に撫でて振り返ってしまう彼の背中に反射的に立ち上がって慌てて声をかける

貴｢あっ、あの！｣

少しだけ身体をこちらに傾けた彼は｢ん｣とだけ返した

貴｢なっ名前！ヒーロー名、教えてくださいっ｣

爆｢大・爆・殺・神ダイナマイト

今にNo.1ヒーローになる男だ、しっかり覚えとけ｣

揺るぎのない真っ直ぐな眼差しでそう言った彼の姿を10年経った今でも覚えてる

あの頃、まだ駆け出しのヒーローだった彼は

あの日、私に宣言した通りのヒーローになった

ヒーローとしての人気は莫大で、こどもたちが憧れるプロヒーロー、大・爆・殺・神ダイナマイト

女性はもちろん、老若男女いろんな人から人気なヒーローだ

けど、ファン第一号はきっとあの日の私だから
それはほんの少し、私の自慢