日常記録3【爆豪勝己】 (ページ3)

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逃げられないページ3

酔った上鳴を瀬呂と切島が肩を貸し帰った後

爆豪宅に残った私とばくごーで後片付けをする

食器を洗う私の横に立ってばくごーはそれを拭いた

騒がしいメンバーがいなくなって急に静かだ

お酒のせいかいつもより脈がトクトクと煩い
あと一歩横にずれたら身体が触れてしまいそうな距離

こんな気持ち、とっくに捨てたはずなのに
緩んだ思考が捨て切れなかった想いを自覚させる

そこへ運よく電話がかかってきて
無理やりでも思考が途切れた

｢ごめん、出る｣とだけ言って
少し離れたところで電話をとった

爆｢……男いるンか｣

電話を切って、洗い物を再開すると
ばくごーはそう言った

きっと会話の内容で相手が男だと分かってしまったんだろう

貴｢んー、付き合ってはないけど｣

爆｢てめーは好き、なんか｣

ばくごーから恋愛話を持ちかけてくるなんて珍しかった
大抵それは上鳴あたりの仕事で、ばくごーから聞かれたのは初めてだ

きっと深い意味はなくて、ただその担当者が不在だから聞いてみたってとこだろう

貴｢どうかなー｣

曖昧な答えに｢ンだよそれ｣と少し不服そうなばくごー

私自身、貴方のせいでよくわからなくなってんの、と言ってやりたいところだけど

それはきっと、この先もずっと言えない

ばくごーには幼なじみの女の子がいる
物腰柔らかそうな、儚げな子

高校時代にも、女子とは基本話さないばくごーがその子とはよく話しているのをそばで見てきた

ただの幼なじみではない、出久とばくごーの関係ともまた違う

そういうのが伝わってきて私の取り入る隙なんてないのがわかった

中途半端なことが嫌いな人だから
きっとプロにでもなったら正式に付き合うんだろうな、と察した

そこからはもうばくごーの恋愛事情を聞かなくなった
いつかそうなってしまう日が来るのを聞きたくなかった

だからもう、この気持ちは捨てることにした

はずなのに

爆｢ンな曖昧な態度とってねぇではっきりさせろや｣

貴｢…なんでそんなことばくごーに言われなきゃなんないの｣

意図の読めない言葉に、棘のある言い方をしてしまう

爆｢好きでもねぇのに気ぃ持たせんのは違ぇだろ｣

貴｢ばくごーには関係ないじゃん｣

爆｢ある｣

貴｢ない｣

これ以上かき乱されたら我慢できなくなる

爆｢なに怒ってんだよ｣

貴｢怒ってない｣

爆｢怒ってンだろーが｣

そう言って食器を洗っていた私の腕を掴んだ爆豪

このまま一緒にいたらダメだ