日常記録3【爆豪勝己】 (ページ18)

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貴「んー、この人は別かな」

こういう人がタイプだったんだ、と返した友人はそれ以上興味もなさそうに食事を再開した

記「先日、熱愛報道がありましたが、実際のところダイナマイトには交際している方がいらっしゃるんでしょうか？」

爆「しつけーな

ンなのテメェらが作り上げたデマだろーが！

俺には前々から婚約してるやつがいンだよ！」

これで満足か、と蹴散らして去っていくかっちゃんの姿に目が離せなかった

テレビの中だけじゃなく、このフロアにいる女性社員全員がザワザワと驚きを隠せない中

かっちゃん結婚するんだ、と私は一人どこか冷静だった

その日の午後はどうにも調子が悪く、いつもはしないようなミスをたくさんして怒られた

肩を落として帰るのも虚しくて、鬱憤晴らしにケーキでも買って帰るか、と少し遠回りをしてお店に寄った

誰と食べる訳でもないのに、ショートケーキとチーズケーキ、どちらにしようか選べなくて二つ買ってしまう

そういえば昔はよく、かっちゃんと取り合いになってじゃんけんで負けた私にかっちゃんは結局好きな方を食べさせてくれたっけな

ハーっと息を履けば白い煙が夜の街に消える
今夜はいつもより寒いな、なんて思いながら歩き始めると

大きな広告が目に留まる

大手メーカーの新商品の広告だ
大きな一枚にはかっちゃんがいて、赤い瞳が懐かしい

彼はどんな人と結婚するんだろう

きっと綺麗で、気遣いができて、彼を支えられる非の打ち所がない人なんだろうな

これといって目標もなく、仕事も母に紹介された一般企業で代わり映えない生活をしてる私には到底及ばない

自分でそんなことを思って、鼻がツンと痛むのは寒さのせいだけじゃなさそうだ

貴「かっこいいな」

爆「たりめぇだろ」

思わずぽろりと声が漏れていたようで、返ってくるはずのない返事に幻聴でも聞こえてしまったのかと驚くと

爆「こっちだわ」

と私を覗き込むように頭上から笑う、キャップの影から見えたその瞳は本物だった

貴「……か、かっちゃん？」

爆「それ以外誰がいんだよ」

背丈も、雰囲気も、あの頃と変わってるのは当たり前だし

テレビや雑誌で見ない日はなかったのに

いざ目の前にすると大人びた彼の表情に心臓の音が聞こえてしまいそうだ