日常記録3【爆豪勝己】 (ページ17)

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子供の約束ページ17

朝の通勤、一日で一番憂鬱な時間。特に真冬のこの時期は、外に出たがる人なんているだろうか。

そんなことを思いながら捕まった信号待ちでふと顔を上げた時、でかでかと電光掲示板に映し出されたヒーローが目に入る。

彼は元気にしているだろうか

幼なじみの爆豪勝己ことかっちゃんは今や手の届かない人

プロヒーロー、大・爆・殺・神ダイナマイトは肉体的、精神的強さもさることながら、その容姿と人に媚びず芯を貫く振る舞いに女性からの人気も高い

だからだろうか、最近はヒーロー特集だけではなく、メンズファッション誌はもちろん、女性用雑誌や何かしらのCMにも彼を見かける頻度が高くなった

彼が昔、口癖のように言っていた言葉を思い出す

俺はオールマイトをも超えるヒーローになって、高額納税者ランキングに名をきざむ！

なんの懸念もない堂々とした態度で私にそう言ったかっちゃんに、当時は「なにそれ」と笑って聞いていたけど、今や本当にそれを叶えているんだから驚くな

そうやって公言したことを必ず実現しているかっちゃんと私は正反対だ

中学卒業を機に離れてしまった二人の距離は私が社会人となった今、縮まることなんてもうきっとない

かっちゃんの活躍を謳うニュースは喜ばしいはずなのに、彼をどんどん遠い存在にしてしまう気がした

貴「私には関係ないか」

もう何年も連絡をとってないし、きっとかっちゃんは私の事なんて覚えてないだろう

ポツリと虚しくなるような言葉を漏らして寒空の下、職場へと足を運んだ

ある日の午後、食堂の端で友人とランチをしていたとき

テレビから聞こえた声に思わず耳を傾ける

怒鳴り声とこの口調は絶対にかっちゃんだ

事件を解決したばかりなのか、そこにインタビューを取り付ける記者の人もすごいなと感心しながら映し出された映像に目をやる

記「ダイナマイト！最近は同世代のヒーローたちの交際発表や結婚発表が続々と公表されていますが、ダイナマイトにそう言った方はおられるのでしょうか？」

爆「るっせーな！はよ散れや！」

地上波だろうがなんだろうが相変わらず横暴な態度は変わらないんだな、と思わず笑ってしまうと不思議そうな顔をして友人が尋ねる

友「なんだ、あんたヒーローとか興味無いと思ってた」

そもそも男に興味無いかと、と続けた友人は、私が彼氏もいないのに悉く合コンの誘いを蹴るからそんな風に思ったのだろう