日常記録3【爆豪勝己】 (ページ15)

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罪の跡ページ15

緊急に駆り出された任務は思いの外手こずった

敵の個性が厄介だったわけでも、人数が多かった訳でもない

同伴はダイナマイトだったし、なんなら彼一人でも片付けられたと思う

ただ、運が悪かった

敵｢おい、お前あれだろ！

犯罪者の娘だ、知ってるぞ俺は

犯罪者の子供がなにヒーロー語ってんだ！｣

そう叫んだ敵の声に一瞬だけ動揺した
行動が遅れた

5年前、父を亡くして傷心した母が再婚した新しい男は、犯人不明とされていた連続暴力事件の犯人だった

女性を手玉に乗せ、関係を築くと手を挙げて金を取る
それがその男のやり口で、久々に実家に帰った私は母に暴力を振うその現場に居合わせ、この手で捕まえた

父を亡くして精神的に追い詰められていた母は誰かに縋るしかなかったんだと思う

私が仕事仕事で母のことを放っておいたのが悪い

母に紹介されたときもその気配に気づけなかった

そんなことがあって母は今、精神病棟にいる
当時はヒーロー活動も一時休止になった
マスコミが毎日のように家へ押し寄せて｢ヒーロー｣を問われた

いろいろ後回しにしてきたツケが回ったのだと、誰も責めることはできなかった

敵｢犯罪者の子供は犯罪者だろ！お前も敵、俺たちと一緒なんだよ｣

復帰直後は同じようなことを何度か言われた気がする
今更もう、堪えるようなことでもない

はぁ、と小さく溜息をつき
私を嘲笑う敵を仕留めようと拳に力を入れたとき

爆｢死ね｣

大きな爆発音と爆風で地が揺れた

呆気にとられていると、残った敵も片付けた爆豪が近くのガードレールに腰かけた

気を失った敵を道端に避けて爆豪のもとまで歩き、目の前で足を止める

貴｢血、出てる｣

腰をかがめて視線を合わせれば、爆豪の瞳に私が映る

貴｢ムキになりすぎ
爆豪らしくないじゃん｣

そう言って手を伸ばし口元から出ている血を拭うと
その手が離れる前に爆豪の手に捕まえられる

立ち上がった爆豪は黙ったまま私を路地裏に連れ込んだ