日常記録3【爆豪勝己】 (ページ31)

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｢すんぞ｣と低い声が呟かれ、返事を返す間もなく一歩近づいた爆豪に腕を引かれた

次の瞬間には鼻先が触れ合う距離に爆豪がいて

心臓が掴まれたみたいだった、息をするのも忘れて身体中に力が入る

爆豪の吐息を感じ、全身がカァッと熱くなるし、みんなのカウントダウンが遠くに聞こえるほど気が動転しそうだった

そんな私とは裏腹に、爆豪は余裕なのかおでこを擦り合わせてもどかしい距離を保つ

油断したら唇が触れてしまいそうだと言うのに熱い視線だけを間近に感じた

｢4、3、2...｣

あと少しだ、もう少しの辛抱だ、息を殺してバクバク煩い心臓を必死に無視しようと瞼をギュッと瞑ったとき

唇に触れた感触に思わず目を開けた

貴｢っ…！？｣

瀬｢おっと？｣

芦｢ひゃーっ｣

上｢あれ？｣

最後まで数えられることなくカウントダウンが途切れたときにゆっくり唇が離れる

真っ赤な瞳が何を語るでもなくただただ私を見ていて、思考停止のまま身体は硬直状態だった

何でこうなったのか、どうしてしまったのかぜんぜん分からないのに

爆豪とキスしたという事実だけは理解してしまう

上｢命令…寸止めキスって言わなかったっけ…？｣

芦｢言ったね〜｣

爆｢我慢できんかった｣

パニック真っ最中の私に悪びれもなくそれだけ言って何事もなかったかのように再び席に着く爆豪

その言葉の意味を解釈して湯気が出そうになるくらい身体が熱くなりヘナヘナと座り込んで爆豪の方を見ると

ビールのジョッキをさっきまで飲んでいたのと同じように呷っているから呆気に取られた

これで酔ってて覚えてないなんて言われたら、相当タチが悪いし、こんなに気持ちを掻き乱しといて責任とってくれないんならもう口聞いてやんない…！