想いを聞く者《壱》

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Aside

――ふふ、面白い子だったな




あれから九年

私はフリーの殺し屋として、裏社会でわりと有名になっている


情報屋も一応やってるけどね

お得意先はポートマフィアかな



まぁ、ポートマフィアにも私の素顔とかを知ってる人は一人もいないけど


やたら勧誘されるんだけどさぁ……嫌だよ普通に

八年前なんか森さん絶対“守備範囲”だから誘ってたでしょ←

私あんたがロリコンなの知ってるからね？



おっと話が逸れた

……ポートマフィアと言えば…四年前のミミックの件


織田さん、死んじゃったんだよね…


「殺さずのマフィア」として良く知ってたし

個人的に知り合って、たまに会うくらいで

子供達ともそれなりに接してたんだけど…



実はね、織田さんが死ぬ前、会ってたんだよね


でもさ、その時の織田さん、覚悟決めちゃってたからね




だから分かってても、手は出さずに見送ったよ

多分、下手に手を出すよりかは良かったと思う





ただ、最後に会った時に頼まれたんだよ

「太宰を宜しく頼む」って



たまに観察したりしてたけど、織田さんの言うとおり

子供のまま大人になったみたいな人だったよ

なんだか、見た目に反してかなり幼いんだよね



「ココロ」が柔くて、脆い。形は真ん丸かな



寂しがり屋で、怖がりで、死を望みながらも

心のどこかでは、「生」に期待している、可哀想な人


私は元来お人好しなのか、なんだか放っておけないんだよね





今日この河川に来たのは、ポートマフィアが狙っている「虎の子」

そして、かの「本」の道標である「中島敦」を見にきたのもあるけど…




「〜〜〜！」

「〜〜〜〜〜」



織田に頼まれた通り、太宰さんを見に来たのが一番なんだ





敦くんと別れた後、場から去ったと見せかけて

【無関心】の異能力で身体を景色に溶け込ませて

少し遠くから様子を見ている



人の感情は複雑だから、わりと色んな力が使えるんだ




……にしても太宰さんや

明るくなったのは良いけどさ……自 殺癖は悪化してるような…

中身は良いけど、頻度が上がってるんだよな…うん


何で犬○家みたいな登場してるの？←

……探偵社の人達――主に国木田さん――は大変だろうな……



案の定探しに来た国木田さん、機嫌悪そうだし




………でもまぁ、楽しそうなら良いよ


ポートマフィアにいた頃は、もっと暗い目をしてたから





彼の見る世界に色が付いてきているようで、安心するよ

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