想いを聞く者《壱》

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Aside

依頼料を示したメモを渡して少し離れたところで電話に出る



『何か依頼かな？《組合(ギルド)》の』

フィッツジェラルド《まるで分かっていたかのような応対だな》

『まぁね。《死の家の鼠》と《時計塔の従騎士》もいるようだけど』

フィッツジェラルド《分かるのか？》

『なめないで貰いたいね』




私がアンタら程度に遅れを取るとでも？

人を侮るのはやめておけ


知らぬ間に、首が飛んでいるかもしれないのだからね





『どうせ「虎」の事でしょう』

フィッツジェラルド《察しが良くて助かるな。頼みたいのだが…》

『悪いけど専門外だ。他をあたりな。どうせ《ポートマフィア》辺り釣ってるんでしょう』

フィッツジェラルド《…そこまでバレていたか》

『あれだけ懸賞金を上げていればね』




私の仕事はあくまで「情報提供」と「殺し」だよ

仕事の範疇でも受けないものは受けないしね




『第一この街を危険に晒そうとしてるのがバレないとでも？調子に乗るようなら殺すよ』

フィッツジェラルド《おお、恐ろしいことだな》

『冗談だと思わないことだ』



横浜を壊そうとでも云うのなら……私は躊躇いなくお前達を殺すよ




『―――大人しくしてくれると助かるね』

フィッツジェラルド《それは出来ない約束だな》

『知ってるよ。だから今から覚悟をしておくことだ』



それを言った後にブツッと電話を切る

これ以上話すこともないんでね


………あぁでも、「お前」にはまだ言いたいことがある



電話を切った後にもう一度、一人を対象に電話をかける




ドストエフスキー《…どうかしましたか？新月》

『とぼけないで欲しいものだね』

ドストエフスキー《はて、何の事でしょう？》

『「天人五衰」だなんて、大層な名前じゃないか』




そこまで言うと、ドストエフスキーは黙り込んだ


気づいているよ。とっくに





『「神威」だったかな？前々から危ういとは思っていたけれど「頁」を使うなんてねぇ』

ドストエフスキー《…全てお見通しですか》

『勿論。もっとも、今は手のだしようがないのも事実だけれど』

ドストエフスキー《やはり最大の障害は貴女のようだ》

『お褒めに預かり光栄だね？魔人殿』



…さてと、そろそろ敦くんの入社試験が始まった頃かな…




『じゃあそれだけだから。…あぁそうだ、道化師は信用するものではないよ』

ドストエフスキー《？それはどういう…》

『ご自慢の頭脳で考えな』



ブツッ

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