縁側の幸せ2 (ページ8)

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仕事のことは解決した
後は家が早く決まれば、とホテルに戻って考える
中村さんからの連絡はまだ無いから、部屋空いてなかったかな？と少し不安に感じていた

考え込んでも仕方ないとシャワーを浴びて髪をバサバサと拭いていた時にスマホが鳴る
中村さんかな？とディスプレイを確認したら知らない番号で
これはきっと元カレのものでも無い
3回ほどかかってきてた番号だな、と着信を告げる画面が切れるまで音を消してスマホを遠ざけた

それから15分程経って髪も乾かし終わり、中村さんに連絡してみようかなとスマホを再び手に取ると
まださっきの番号からの着信が続いている…嫌な着信に慣れてきたとはいえ流石に気味が悪くなってそのまま切った

『これで大丈夫でしょ』
ふぅ、と恐怖心を誤魔化す様に小さくため息をついて中村さんに電話しようと画面を操作した途端

またさっきの番号からの着信

それからはイタチごっこみたいに
私が切っても何度も何度もかかってくる
目の前にいない相手だからか、今度は恐怖心よりも苛立ちの方が多く感じられた

『もう好きにしたら…？』

吐き捨てる様にそう言ってスマホを放ってテレビをつけた
丁度お昼のニュースをやっていて、ワンコーナーのゲストとして中村さんが出演していた

『忙しそう…これは電話かけても出れないよね』なんて呟きながらもうすぐ上映するという中村さん主演の映画の番宣を真剣に聞く

私はもうすっかりファンになってしまったみたいだ

だから、そう
この前のあの痛いほどのドキドキも
高揚感も全部…恋愛とかじゃ無い

中村さんの出演も終わって、テレビもそろそろ飽きてきたな、なんて思いながら遠くにやったスマホを覗き込む

まだ着信は続いてるみたいだ

『何度目の着信なんだろうね…？暇すぎるでしょ』

もう恐怖心も苛立ちもなくただただ呆れていた