縁側の幸せ2 (ページ6)

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居酒屋でもお酒の注文、料理の注文もとてもスムーズで
店員さんとの会話もとてもスマートだった

『中村さんってやっぱり凄いですね』

乾杯をしてほろ酔いになるくらいにお酒を飲んだ後思った事が口からポロッと溢れた

「Aちゃんは出会った時からずっとそう言ってくれるね、自分では分かんないけど」

『中村さんの事嫌いな人なんて居ないんだろうなって、紳士的で面白くて優しくて顔もかっこよくてって…凄いとしか言えないでしょ！って思います』

「あはは、褒めすぎだよ
そんな褒められたら今日は俺の奢りにするしかないな〜」

『そういう所も、です。絶対私に払わせる気なんて最初から無かったでしょ？』

「ふふ、どうだろうね〜」

誤魔化す様に笑ってお酒を一口飲んだ中村さんが、さっきとは違う少し真剣な表情をして口を開いた

「そういえばさ、俺が電話に出た相手って誰なの？
ストーカーでは無いんだよね？」

元カレのことを思い出して心臓が嫌な音を立てる

『あ…あの人は元カレで、地元でストーカーの事があった時に拗れて…個人的に会いたくないっていう人の1人なんです…』

「…ふぅん、元カレね」

少し拗ねた様な声色で火をつけた煙草を燻らせる中村さんに目線を合わせると、ニコリと笑って続けた

「俺が電話に出れて良かった、もうかかってきてないの？」

『あ…今朝1回だけ、でももうかけてこない様に伝えましたし大丈夫ですよ』

「そっか…また次かかってきたら俺が出るから」

『え…いや、そんな迷惑ばかりかけられないですよ』

中村さんには今までだけでも返せないほどしてもらってる事が多すぎるのに、これ以上頼るのは流石に…と遠慮する

「迷惑なんかじゃないから
俺が出たいの、ね？同じマンションになるんだから
それくらい良いでしょ」

特権だよと、あたかも私と元カレの間に入る事を特別な役割みたいに言う中村さんに、また熱が顔に集まってくる

「また顔赤いけど、どうした？」

どうしてだなんて分かってるけどね、と言わんばかりにニヤニヤとした表情でこちらを見てくる中村さんに

『お酒のせいですから！これは！』と苦し紛れの言い訳をするしかなかった

それからお腹もいっぱいになった頃すっかり忘れていたホテルを予約した
引っ越しも控えている為少しでも安く済ませようと
『1番安い所で！2010号室！』と急いで予約を取る私をクスクスと笑いながら見ていた中村さんは
そのままホテルの外まで送ってくれた