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「歯磨きして帰るの?」
『あ…はい。お言葉に甘えて…』
「そっか、終わったらここに置いてくれたら良いから」
そう言うと珪藻土で出来た歯ブラシ置きを新しく1つ出した倫也は、同じ物が並んでいる隣へと置いた
『ありがとうございます…』
少し気まずさを覚えながらも言われた通りに動くAは、まだ顔の熱が引かない様子で歯を磨き始める
倫也もAも歯を磨き終わり、指定された場所へAが歯ブラシを戻すと倫也は満足そうに笑うと、リビングへ戻ろうとするAを後ろから軽く抱きしめるとすぐに離した
「これ、置いておくって事は少し期待しても良いよね?」
『…ご自由にどうぞ』
急な事に驚くAの顔をニコニコと笑いながら見つめる倫也に、Aは耳まで真っ赤にしながらそう呟くのが精一杯のようだった
「じゃあ、またね」
『はい、また後で』
そう挨拶を交わしてから隣の部屋に戻るAを、倫也は扉が閉まるまで見送ってから自身の部屋に戻る
玄関から歩きキッチンを見ると忙しくしていた間、掃除も碌にできていなかったキッチンが昨日よりも断然綺麗になっていて、Aがここに居たんだという証のようでそれすらも愛おしく感じていた
ーーーーーーーーーーー
部屋に戻ったAは倫也によって上げられた体温を誤魔化すためにシャワーを浴びた
髪を乾かしてからスキンケアをし、ダラダラとしているとオートロックのベルが鳴る
どうやら家具、家電が届いた様で鍵を開けて業者を部屋に通していく
次々と運び込まれた家具や家電を設置してもらい、その途中に布団も届いた為に、家具レンタルの業者が帰る頃には人が住むにはぴったりの部屋が完成していた
『…起動確認だけしとこうか』
すぐに倫也に連絡をするのはまだ心の準備ができていないのか、サブスクを見られるかどうかテレビの動作確認をして、サブスクアプリにログインをする
全て仕上げてから、布団と一緒に頼んでいたコーヒー豆をガリガリと引いて、ドリッパーにセットしお湯が沸くのを待ちながら倫也へと電話をかけた
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作者名:村民 | 作成日時:2023年2月17日 17時