縁側の幸せ2 (ページ19)

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「これで一通り検査は終わりですね。後は結果が出るまでは入院してもらう事、どこか痛みや異変があればすぐに教えてくださいね。昼食からは回復食になりますが食べられる様でしたら食事もとってもらって構いませんので、他に何か質問は？」

『立って歩いたりなんかは…？』

「まぁ多少なら大丈夫でしょう、長距離歩いたりはしない様に、立つ時はゆっくり立って下さいね？お風呂はまだ入れないので体を拭く程度にして下さい。」

『はい、分かりました』

案外ダメな事が多いな、と感じつつも検査をしてくれた医師にお礼を言って車椅子に乗ったAはそのまま病室へと戻った

食事は自分で取りに行かないとダメらしい
今日は看護師が持ってきてくれたのだが、お盆の上にのる質素すぎる食事を見てAはあからさまにがっかりした表情を浮かべる

『これだけですか…？』

「そうよ、自分では元気だと思ってても胃腸って案外弱いものだから、これくらいがちょうど良いのよ！ゆっくり食べてね？お見舞いのお菓子なんかは食べちゃダメよ？」

分かった？と念押しをして病室を後にする看護師を視線だけで見送った後
お盆の上に乗ったほとんど水のお粥をひと匙掬って口に入れたAは『味薄い…』と呟きながらもそれほど時間はかけずに完食した

『これじゃ足りないよ〜』等と文句を言いながらゆっくり立ち上がり、お盆を返しに行くと途中で先程の看護師に会った

「もう食べたの？ゆっくり食べないとダメじゃない！」

まったく、とプリプリ怒りながらもAの持っているお盆を受け取り、戻しておくから！と病室に戻る様に言ってくれる彼女にAはお礼を告げて再び病室へと帰った

部屋に戻り鞄の中のスマホをチェックすると、知らない番号からの着信が数件
倫也からの着信が数件、メールが2件ほど来ていた

知らない番号の事は考えたく無くて無視をするA
きっと犯人の家族かAの家族か、どちらかだろう
どちらにしても良い電話だとは思えない

倫也からのメールを開いて読む
1件目はもうすぐ迎えに行けるから起きているか確認のためのメール
2件目は連絡が無い事を心配している、ただ疲れて寝てるだけなら今日はやめて違う日にしたので構わないから気にしないで欲しいというような内容だった

『優しすぎるでしょ…』

決して長くは無い文章なのに優しさが溢れていて、少し恋しくなり、鞄からイヤホンを取り出してベッドに横になり倫也の歌を聞き始めた