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倫也が撮影を終え自由になった時には既に22時を回っていた
こんな時間に電話をかけては迷惑だろうと考えたが、それよりもすぐに確かめたくなり高木に電話をかける
数回コール音がなった後高木はすぐに電話に出た
高「もしもし、高木ですが」
「もしもし…中村と申しますが」
自分の名前を伝えた後、どう説明しようかと考えを巡らせる倫也、守秘義務があるために教えてくれないかもしれないというハードルがあるにも関わらず、ノープランで電話をかけている自分に少し躊躇いつつも話を進めた
「竹中さんの知り合いの者でして、AAさんに高木さんを紹介した者なんですが」
高「あー…はい。それで、どの様なご用件ですか?」
「単刀直入に聞きますね、今ニュースになっているストーカー事件、被害者はAさんじゃ無いですよね?」
出来ればそうあってくれたらと
願望も含んだ様な声色で伝える倫也
高木からの返答は無く十数秒の沈黙が続いた
高「えー、守秘義務というものがありまして、中村さんが犯人やAさんのご両親、ご兄弟と繋がっていないという証拠が無いとですね…」
「ストーカー被害の相談を勧めた僕が繋がってると本当に思ってます?」
高「いやー…困ったな。ではAさんとどの様なご関係で?」
「そうですね…近所に住む友人、ですかね?」
高「友人ですか…」
電話口の奥でうーん、どうしよう等と呟いている高木に倫也は押せばいけると確信し、矢継ぎ早に口を動かした
「新しく住むマンションも僕と同じ所を紹介しましたし、昨日は一緒に出かける予定があったんですよ。
それなのに連絡がつかなくてですね、あの事件の被害者が彼女では無いとしたら、彼女が今何処にいるのか分からないのも結構危険だと思うんですよね〜…ストーカー被害に合っているわけですし」
高「それは仰る通りで…はぁ」
「僕、Aさんの職場のビルの芸能事務所に所属している者です。俳優の中村倫也と申します、高木さんと一緒にお見舞いに行くのでも構いませんから、それで身分証でも何でも見せますし僕の事信用して貰えませんか?お願いします。」
高「え!?中村ってあの…じゃあ、場所だけお伝えする訳にはいきませんので僕も一緒で良いのであれば構いませんよ、職場の方はお見舞いに来られてますし」
「はぁ、良かった…」
お見舞いの日時は明日の昼過ぎに決め
待ち合わせ場所を駅前に指定した後高木は電話を切った
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作者名:村民 | 作成日時:2023年2月17日 17時