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「では、目が覚めたらすぐここにご連絡お願いします。」
医師に名刺を渡し去っていく刑事
あのまま警察病院に運ばれたAは
2日経った現在、頭への強い衝撃で脳挫傷を起こし意識はまだ戻っていなかった
幸い現場に到着し犯人を捕まえた刑事がAの相談履歴から高木へと連絡が入り、親兄弟への連絡はしない様に配慮してくれている
代わりに高木が職場へ連絡をしてくれていた
職場の上司や同僚のおば様方がお見舞いの品を持って顔を見に来てくれたがAの意識は戻らないままだった
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「は…?」
収録の合間に楽屋のテレビを付けてお茶を手に取り飲もうとした所、耳から入る情報に頭が追いつかず手が止まる倫也
テレビにはストーカー暴行傷害事件、とデカデカと書かれているテロップに、2日前の日付の正午過ぎに犯行が行われたと淡々と伝えるキャスターの姿が映し出されていた
「昨日連絡つかなかったの、もしかして」
そう考えがよぎった途端に全身の血の気が引いた様に倫也は真っ青な顔をしてスマホを手に取り、高木の元上司ーー竹中へと電話をかける
「もしもし、竹中さん?高木さんの連絡先教えてくれない?」
竹「ん?どうしてだい?何かあったか?」
「ちょっと聞きたい事が出来てね、今ニュースしてるストーカー事件のこと」
竹「あぁ、あれか。俺も気になってたんだが、高木と電話が繋がらなくてな、多分避けてやがる。守秘義務がどうとかで言えねぇからな、電話に出たら被害者は俺が紹介した子かい?って聞かれるとでも思ってんだ、あいつは嘘が付けない野郎だからよ、知らない番号なら出るだろうから、高木の番号はすぐメールで送っとくよ。」
「うん、ありがとう。じゃあ、俺まだ仕事だから」
竹「あいよ、頑張んなよ」
ありがとね、とまた言って電話を切る倫也
すぐにスマホが震えて高木の電話番号を手に入れた
今電話をしている時間は無い
もう少しで撮影は再開するだろう、今すぐどうにか確かめたいという気持ちを押し殺して現場へと戻っていった
撮影が始まれば仕事に集中していたが
少し空きの時間ができるとあのニュースが気になって仕方ない倫也は、どこかに被害者の名前が載っていないかとネットニュースをスマホで検索する
しかしどこにも被害者の情報は載っていなかった
名前どころか年齢すら載っておらず、唯一被害者は女性で意識不明だという事だけしか分からなかった
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作者名:村民 | 作成日時:2023年2月17日 17時