2話 ページ4
ウ)「今日は神楽を見せるから、やってみなさい」
あ)「はい」
おばーちゃんの舞は、綺麗だった。
私の隣で、鶴丸が声をもらしていた。
こいつ、おばーちゃんが好きなのか？
とか。
軽口を叩きたかったけど。
それ以前に、おばーちゃんが綺麗すぎて声が出なかった。
ウ)「…はい。今日はこれだけを覚えるんだよ」
あ)「分かりました！」
おばーちゃんに教えられ、踊ってみるも…
鶴)「あっはっは！なんだ、それは！タコ踊りか何か！！」
あ)「つーるーまーるー！うざい！あっちいけ！」
鶴)「ひーっ！あっはっは！笑わせるな！」
あ)「…鶴丸、許さない」
すぐさま、鶴丸を追いかけるべく、走り回る。
くっそー、ボコボコにしてやる！
ウ)「コラ！A！座りなさい！」
ピタッと、私達の動きが止まる。
あ)「だって…鶴丸が…」
ウ)「はぁ。だっても何もありません。…貴方は次期当主です。些細なことに集中を欠けて、どうするんです」
あ)「…ごめん、なさい」
ウ)「…今日はご飯抜きです。出来るまで、練習しなさい」
鶴)「お、おい、ウメ！それはいくらなんでも…」
ウ)「国永も国永です。…貴方は罰として、庭の掃除をしてきなさい」
鶴)「ゲッ」
ウ)「…いいですね？2人共」
あ 鶴)「「…はい」」
おばーちゃんが行ってしまった。
鶴丸が、気まづそうにこっちを見てくるが、無視。
鶴)「えーっと…」
あ)「…鶴丸、いってきたら？」
鶴)「A…」
あ)「いいから！」
鶴丸の顔を見ることなく、追い出す。
あーあ、八つ当たりしちゃった…
”次期当主”って言葉が重くのしかかる。
…しっかり、しないと。
パンっとほっぺを叩き、神楽の練習を再開した。
ようやく、形ができた。
おばーちゃんみたいには、上手くできないけど…
それでも、”なんとか”って感じだ。
…お風呂でも入って寝よ。
スッと戸を開ければ…
あ 鶴)「「わっ！？」」
目の前に、鶴丸が立っていた。
あ)「何！？いつからいたの！？」
今の時期は肌寒いって感じだ。
体に触れた時、冷たかった。
鶴)「えーっと、だな。…い、一緒に飯を食べようと思ってなー…ははは」
ポリポリと頬をかき、出された右手には、不格好のおにぎりがあった。
あ)「…これ、私に？」
鶴)「…あぁ」
あ)「そっかぁ…」
手にとってみれば、それは冷たく、すでに硬くなっていた。
あ)「…いただきます」
どうだ？と聞いてきそうな顔
…正直、美味しくはないが…
あ)「…美味しいよ、ありがとう」
嬉しかった
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作者名：なーこ | 作成日時：2017年3月6日 17時
